震災から始まった施工管理の道|総合建設業から専門工事業への転職ストーリー

源さん
源さん

震災をきっかけに施工管理の道を選び、総合建設業から専門工事業へとキャリアを広げてきたナナコさん。現場の厳しさも達成感も味わいながら、資格取得や転職という大きな挑戦を乗り越えてきたんだ。

今では専門工事業の施工管理として、新しい視点から現場に向き合い続けている。今回のインタビューでは、ナナコさんがこれまで歩んできた道や建築にかける思い、さらに施工管理を頑張るみんなへのアドバイスを聞かせてもらったぞ。現場で奮闘する彼女の熱い気持ちが伝わる内容だ!

Q.簡単に自己紹介をお願いできますか?

はじめまして、ナナコです。私は2018年に建築系の専攻を卒業後、東海地方の大手ゼネコンに新卒入社しました。

そこで6年間、民間マンションや公営団地の解体・新築工事を中心に施工管理業務に従事し、総合建設業の現場で経験を積んできました。具体的には、工程管理や品質管理、安全管理に加え、協力業者との調整や書類作成など、現場のあらゆる業務に携わりながら、工事を無事に完了させる達成感を日々味わっていました。

2023年12月に転職し、現在は専門工事業の施工管理を行っています。管理部に配属され、積算や現場管理、安全管理、書類作成など幅広い業務を担当しています。総合建設業とは異なる視点から現場を見ることで、施工における新たな知見を得るとともに、専門的な技術や知識の習得にも力を入れています。

わたしの履歴書
  • 2018年4月
    地方大手ゼネコンに新卒して入社
    民間マンションや公営団地の解体・新築工事に携わり施工管理としての経験を積む
  • 2023年12月
    専門工事業に転職
    管理部に配属され、総合建設業の施工管理から専門工事での施工管理へ。積算、現場管理、安全管理、書類作成等を担当
施工管理ライター募集

Q.新卒で施工管理のお仕事を選ばれたのは、どんな理由からですか?

両親ともに建築に関わる職業に従事しており、幼いころから建築に対して自然と強い興味を抱いていました。

幼少期には、美術館で建築家の展示を見たり、世界遺産になっているような寺院を訪れたりすることが多く、そういった場所を通じて、建築の美しさや歴史的価値に触れる機会が多かったです。当時は施工面ではなく美術や歴史の観点から楽しんでいたように思います。

施工に興味を持つようになったきっかけは、2011年の東日本大震災でした。その年はちょうど私が高校入学の年で、これからの進路を考えていく中で、なんとなく興味のあった建築系に進もうかと考えている中で自然災害によって多くの人々が命を落とし、生活が一変したその瞬間を目の当たりにしたことで、建物の強さ、そしてそれを支える施工の重要性を深く考えるようになりました。

震災を通じて、「災害に負けない建物を作り、人々の暮らしを支えたい」という強い思いが芽生えました。

私にとって、その瞬間から建築の意味は単なる美しさや歴史的価値にとどまらず、人々の生活を守り、命を守るための力強い存在であるという認識に変わりました。施工の現場で働くことで、実際に建物がどのように作られ、どのように人々を支えているのかを身近に感じ、もっと深く関わっていきたいと強く思うようになったのです。

この経験が、私の建築に対する情熱をさらに深め、施工管理という道を選ぶ大きな動機となりました。

Q.具体的にどのようなプロジェクトや業務を担当していましたか?

主に壁式RC造の建築に携わっていました。

民間マンションや社員寮、県営住宅の新築工事などで、チームには女性が少なく時には私1人の時もあったので体力面や筋力などで気を遣わせてしまうこともあったかと思いますが、女性がいることで現場のひりついた雰囲気が柔らかくなる、たまに無理なお願いをしなければならない時でも反発が少なくて良い雰囲気の中で仕事ができるね…などを言っていただけたこともあります。

日々の仕事としては安全管理、施工図作成、写真撮影などの品質管理、下請け業者との打ち合わせや指示などがメインです。

Q.施工管理のお仕事で、一番楽しかったこと、やりがいを感じた瞬間は?

やはり一番のやりがいは何もなかった土地に新しい建物が作られ、地図に残り、人々がそこで生活していく・・・という点です。

転職した今でも、かつて管理した建物の近くを通るとついついどんな人がそこで生活しているのか・どのようにして建物が使われているのか…など、見てしまいます。

逆に大変だったことは夏場の暑さと残業時間の長さです。熱中症に気を付けましょう!と言っても外での仕事は避けられませんし、業務上長袖長ズボンの着用は必須なのでどれだけ休憩をとったり水分補給をしていても体力は奪われてしまいますね。近年の暑さは異常ともいえるレベルです。

残業については、どうしても日中は現場に出て職人さんの対応をしたり現場の納まりをチェックしたりしなければならないため、施工図の作成及びチェック作業や細かい事務仕事などは現場のカギを閉めてから・・・という風潮があり、平均して家に帰れるのは22時とかだったと思います。

Q.施工管理から転職を考えたきっかけは、どんなことでしたか?

以前は、残業や休日出勤が多く、自分の時間が全く取れないという不満を抱えていました。その状況にいつか転職しなければという思いが強くなり、転職を考え始めていました。

しかし、同時に「何のスキルもないまま転職するのは不安だ」と感じ、なかなか踏み切ることができませんでした。さらに、担当する物件が途切れることなく次々に割り当てられ、辞めると言い出せない時間も続いていました。

そんな中、二級建築士と一級建築施工管理技士を取得することができました。資格を取得することで、少しずつ自分の成長を実感できるようになり、これからのキャリアに対しても自信を持てるようになったのです。その後、大きな物件を任されることになり、「この物件が終わったら転職しよう!」と、心の中で決意することができました。

もちろん、転職という大きな決断には不安が伴いますが、それでも自分のスキルや経験が積み重なってきた実感があり、次のステップに進む準備が整ったように感じています。

Q.現在のお仕事は、どのような内容ですか?施工管理の経験は、今のお仕事にどう活きていますか?

現在は専門工事業で施工管理を行っています。総合建設業での施工管理とは違い、特定の工種を専門に担当し、その工種に関連する業務を幅広く管理する役割を担っています。

私が行っている職務内容は、主に積算や材料の発注、作業員の手配、現場への人員調整、協力業者への応援依頼などです。

専門工事業での施工管理は、特定の工種に対して深い理解と高い調整力が求められます。

そのため、現場ごとに必要な資材や作業員を適切に手配し、効率的に作業を進めるためには、日々の確認作業や先を見越した計画が重要です。総合建設業での施工管理が現場全体を俯瞰して管理するのに対して、専門工事業はその一部を深掘りし、より現場に寄り添い管理する感覚に近いと思います。

転職して大きな工事現場に足を踏み入れることも多く、その際には、以前お世話になった職人さんと再会することもあります。

「久しぶり!」と声をかけていただくこともあり、その度に自分の築いてきた人とのつながりを大切にしてきたのかを実感しています。

そして、私にとって総合建設業での施工管理としての経験が非常に大きな意味を持っています。現場全体の流れを把握し、管理する能力が身についたこと、そして資格を取得したことが、転職後にも大きな強みとなっています。

資格を持っていることは、専門的な知識や能力を証明する手段となり、転職先でもその実力が評価される要素となります。また、現場での経験は、どんな職場に移っても必ず活かせるものです。

Q.現役で頑張っている施工管理の皆さんに、何かアドバイスはありますか?

施工管理を頑張っている皆さんへ。現場での仕事は、予期しない問題や複雑な調整を日々乗り越えることが求められます。その中で、いかに効率よく、そして確実に仕事を進めるかが重要です。

まず、チームワークを大切にしましょう。施工現場では一人の力だけでは限界があります。周囲と密にコミュニケーションをとり、お互いの役割をしっかり理解することで、トラブルを防ぐことができます。また、職人さんや他の関係者の意見に耳を傾け、さまざまな知識を吸収していくことがスムーズな進行に繋がると思います。

次に、計画力を養うことが大切です。作業の進捗状況をしっかり把握し、期日を守るためには事前の準備と調整が欠かせません。計画に余裕を持たせることで、予想外の問題が起きても柔軟に対応できるようになります。

そして、何よりも安全管理です。現場での事故やケガは、作業の進行に大きな影響を与えることはもちろん、事故に逢われた方のご家族や大切な人を悲しませてしまい、そういった方々からの信頼を失うことになります。常に安全確認を徹底し、作業員の健康や安全を守ることが、最も重要な責任の一つです。

最後に、常に学び続ける姿勢を忘れないでください。施工管理の現場では、新しい技術や法令の改正が頻繁にあります。日々の学びを積み重ねることで、自分自身の成長に繋がり、より良い現場運営ができるようになります。

困難な状況も多いかと思いますが、努力が必ず成果に繋がります。自信を持って、引き続き頑張ってください!

源さん
源さん

ナナコさんの話を聞いて、俺も改めて施工管理の奥深さを実感したよ。震災をきっかけに「災害に負けない建物を作りたい」って思いを持って建築の世界に飛び込んだ話には、同じ業界の人間として心を動かされた。現場で女性1人のときもあったっていうのは大変だったと思うけど、だからこそ生まれた良い雰囲気や周りの信頼ってのは、ナナコさんならではの強みだな。

転職を決意するまでの不安や葛藤も、俺自身経験したことがあるから、すごく共感できた。資格を取ることで自信をつけて、次のステップに進むきっかけを掴んだっていうのは、本当にすごいし、努力の賜物だと思う。今や専門工事業で積算や人員調整まで幅広く活躍してるなんて、やっぱり現場での経験が活きてる証拠だよな。

施工管理の仕事は確かに大変だけど、ナナコさんの言葉からは、それ以上にやりがいや成長の喜びが伝わってくる。俺も改めて、自分の現場でできることを全力でやりながら、次のステップを考えていきたいと思ったよ。このインタビュー、現役の施工管理者にとっても、これから目指す人にとっても大きな励みになるはずだ。