
「パパ、またいないの?」——3歳の子どもにそう言われた日から、貴裕さんの気持ちが動き始めたぞ。
土木施工管理10年。道路・橋梁・河川と現場を渡り歩いてきた人間が、35歳で建設コンサルタントの積算部門に転向した。現場を離れることへの迷いを抱えながら、それでも家族との日常を選んだ決断の裏側を聞いてきたぞ。
施工管理の経験は積算の仕事でどう活きるのか。転向3年目のリアルを正直に話してもらった。
- 25歳中堅ゼネコンに新卒入社・土木施工管理へ配属地方の工業系大学(土木工学科)卒業後、中堅ゼネコンに入社。道路・橋梁・河川工事の施工管理としてキャリアをスタート。
- 28歳現場責任者として複数の協力会社を統括道路・橋梁工事の現場責任者に。複数の協力会社を統括しながら工程・品質・安全管理を担当。
- 32歳結婚・第一子誕生。転向を意識し始める結婚・第一子誕生。単身赴任が続く中で「このまま続けていいのか」という疑問が生まれ始める。
- 35歳建設コンサルタントの積算部門へ転職土木施工管理10年の経験を活かし、建設コンサルタントの積算部門へ転向。土木工事の積算業務を担当。
- 38歳積算職3年目・現在積算職3年目。道路・橋梁・河川工事を中心とした積算業務を担当しながら、後輩の育成にも関わっている。
自己紹介
貴裕さんは現在38歳。地方の工業系大学で土木工学を学び、卒業後は中堅ゼネコンに入社して土木施工管理を10年間担当した。道路・橋梁・河川工事を中心に、28歳からは現場責任者として複数の協力会社を統括する立場で工程・品質・安全管理を担ってきた。32歳で結婚・第一子が誕生したが、単身赴任が続く生活は変わらなかった。35歳のとき、建設コンサルタントの積算部門へ転職。現在は積算職3年目として道路・橋梁・河川工事の積算業務を担当しながら、後輩の育成にも関わっている。
土木施工管理を10年続けてきた理由。現場への愛着と積み重ねてきたもの

施工管理という職種を選んだ理由を教えてもらえますか?

大学で土木を学んでいたので、卒業後は現場に関わる仕事に就きたいと思っていました。施工管理を選んだのは、道路や橋梁が実際に形になる過程に立ち会える仕事だと思ったからです。インフラが完成したとき、その場所を毎日利用する人たちがいる。その達成感は、他の仕事ではなかなか得られないと思っていました。
インフラ整備への使命感が、土木施工管理を選んだ動機になっていたよな。10年間続けてきた中で、やりがいを感じた瞬間を聞いてみたぞ。

10年間で一番印象に残っている現場はどこですか?

30歳のときに担当した橋梁工事です。地盤が想定より軟弱で、基礎工法を途中で変更しなければならなかった。工程が大幅に狂って、協力会社との調整が毎日続きました。完成して開通したとき、車が橋を渡っているのを見ながら「これを作ったのは俺たちだ」という感覚は今でも忘れられません。あの現場があったから、10年続けられたと思っています。
「あの現場があったから10年続けられた」という言葉は、施工管理という仕事の本質を突いているぞ。しんどい現場ほど、完成したときの達成感が大きい。その感覚を知っている人間が積算の仕事に入ったとき、数字の背景にある現場の重さが見えるようになるんだよな。

続けてきた一方で、しんどさを感じていた部分はありましたか?

単身赴任が一番きつかったです。入社してから転勤が続いて、家族と同居できた期間の方が短いくらいでした。独身のうちはまだよかったんですが、32歳で子どもが生まれてからは、現場にいる間ずっと罪悪感がありました。週末に帰省して、月曜の朝にまた仕事場に向かうときの感覚は、年を重ねるごとにしんどくなっていきました。
仕事への愛着と家族への罪悪感が同時にある状態——これは施工管理の単身赴任経験者が共通して抱える感覚だよな。達成感と消耗が同じ場所から生まれてくる構造が、判断を難しくしていくぞ。
転向を決めた瞬間。子どもの顔を見て帰れる日常を選んだ

転向を「決めた」瞬間はあったんですか?

子どもが3歳になった頃、「パパどこにいるの?」と電話で聞いてきたんです。「仕事だよ」と答えたら「またいないの?」と言われて。子どもにそう思われている現実が、ずっと頭から離れなくなりました。現場が好きだという気持ちはあった。でも、このままでいいのかという問いに答えが出なくなっていました。
「またいないの?」という3歳の子どもの言葉が、10年間積み上げてきたキャリアより重く響いたんだよな。発注者側にいる俺が見てきた限り、転向を決意した施工管理経験者の多くは、こういう日常の一言がきっかけになっていることが多いぞ。

転向先として積算職を選んだ理由はなんですか?

内勤で土木の専門性を活かせる仕事を探したときに、積算という選択肢にたどり着きました。施工管理をやってきた人間は、工事の工程・材料・施工方法を現場感覚で知っている。その知識が積算の仕事で直結すると聞いて、自分に向いているかもしれないと思いました。設計コンサルタントや発注者支援業務も検討しましたが、土木工事の「コスト」に最も近い仕事が積算だと感じたんです。
「土木工事のコストに最も近い仕事」という表現は、施工管理経験者だからこそ出てくる視点だよな。現場で材料費・労務費・機械費の感覚を体に染み込ませてきた人間が積算の仕事に入ると、数字の背景にある現場の実態が見えるようになるぞ。

現場を離れることへの迷いはありましたか?

かなりありました。10年間積み上げてきたものを手放す感覚があって。現場でしか通用しないキャリアを積んできたのに、内勤に転向して通用するのかという不安がずっとありました。でも子どもの顔を見て帰れる日常を選ぶことと、施工管理の経験を捨てることは別の話だと気づいたとき、踏み出せた感じがします。
「子どもの顔を見て帰れる日常を選ぶことと、施工管理の経験を捨てることは別の話だ」——この言葉がキービジュアルメッセージにつながる核心だよな。転向への迷いと家族への選択、その両方と正面から向き合ったからこそ出てくる言葉だぞ。
積算職への転向活動。土木施工管理の経験はどう評価されたのか

実際の転職活動はどう進めましたか?

建設業界に特化した転職エージェントに登録して、積算職の求人を探しました。正直、施工管理から積算への転向事例がどれくらいあるのか分からなくて、最初は不安でした。でもエージェントに相談したら「施工管理経験者は積算職で評価される」とすぐに言ってもらえて。それだけで少し気持ちが楽になりました。
「施工管理経験者は積算職で評価される」という言葉は、実態として正確だぞ。発注者側にいる俺の経験から言うと、積算の仕事で最も重要なのは「工事の実態を知っているかどうか」だよな。図面と仕様書だけを見て数字を積み上げる人間より、実際に現場でその工事をやってきた人間の方が、積算の精度が高くなる傾向があるぞ。

面接ではどんなことを聞かれましたか?

「なぜ施工管理から積算に転向したいのか」という質問が最初に来ました。家族の事情を正直に話したら、「そういう動機で来る人間は長く続けてくれる」と言ってもらえました。あとは「どんな工種の施工管理をやってきたか」を細かく聞かれました。道路・橋梁・河川の経験があると伝えたら、「まさに今うちが積算を強化したい分野だ」と言われて、手応えを感じました。
「どんな工種の施工管理をやってきたか」という質問は、積算職の採用では核心をついた問いだよな。積算は工種ごとに専門性が分かれるため、施工管理で経験してきた工種がそのまま積算での専門領域になるぞ。貴裕さんの道路・橋梁・河川という経験は、土木積算の中でも需要が高い領域だよな。

転職活動全体を振り返って、難しかった部分はありましたか?

積算ソフトの経験がないことを不安視されたことがありました。施工管理では積算ソフトを使う機会がなかったので、「使ったことがない」と正直に伝えたら、一社に書類選考で落とされました。ただ今の会社は「現場経験があれば積算ソフトは入社後に覚えられる」という考え方で、そこの判断基準の違いが会社選びで重要だと感じました。
「積算ソフトは入社後に覚えられる」という判断をしてくれる会社を選べるかどうかが、転向成功のカギになるよな。発注者側にいる俺の経験から言うと、積算ソフトの操作は覚えられるが、現場の実態を知る感覚は経験なしには身につかない。施工管理経験者が積算に転向することの価値を正しく理解している会社かどうかを、転職活動で見極めることが重要だぞ。
積算職3年目の仕事の実態。施工管理の経験がどこで活きているのか

積算職3年目になって、施工管理の経験が最も活きていると感じる場面はどこですか?

一番実感するのは、数量拾いの精度です。図面から工事数量を拾い出す作業をするとき、「この施工方法だと実際にはこれだけの材料と手間がかかる」という感覚が現場経験から染み付いている。数字を積み上げながら「この積算は現場で成立するのか」を常に考えられるのは、施工管理をやってきた人間の強みだと思っています。
「この積算は現場で成立するのか」という問いを持ちながら数字を積み上げられる人間は、積算職として確実に強いぞ。発注者側にいる俺が見てきた限り、現場経験のない積算者が作った数字は実際の施工コストとズレが生じやすいんだよな。貴裕さんが言う「現場感覚が染み付いている」という強みは、積算の精度に直接影響するぞ。

逆に、積算職に転向して最初に壁を感じた部分はどこですか?

単価の知識です。工事の単価は地域・時期・発注者によって変わるんですが、施工管理をやっていたときはそこまで意識していなかった。現場で「このくらいかかる」という感覚はあっても、正確な単価データを体系的に持っているわけじゃなかった。1年目はこの部分を先輩に教わりながら、データベースを頭に入れていく作業が続きました。
「現場感覚はあるが、単価データは別物」という話は、施工管理から積算に転向した人間が共通して感じる壁だよな。現場経験が強みになる部分と、積算職として一から覚える部分がはっきり分かれる。この両方を理解したうえで転向を決めた人間が、入社後のギャップを最小限に抑えられるぞ。

施工管理時代と比べて、働き方はどう変わりましたか?

毎日定時近くに上がれるようになりました。施工管理時代は工期が近づくと深夜まで続くことが当たり前でしたが、今は基本的に定時で仕事が終わります。子どもが寝る前に帰れる日がほとんどになって、それだけで転向してよかったと思えます。単身赴任もなくなって、家族と毎日一緒にいられる生活が3年続いています。
「子どもが寝る前に帰れる日がほとんどになった」という言葉は、転向を選んだ理由そのものだよな。施工管理時代の達成感とは種類が違うが、家族との日常という別の充実感が生まれているぞ。
今の仕事とこれから。現場を離れて見えてきたこと

積算職3年目になって、これからのキャリアをどう考えていますか?

RCCMの取得を目指しています。建設コンサルタントで働く上で、RCCMは積算の専門性をさらに高める資格として位置づけられているので。土木施工管理技士の資格も持っているので、両方を武器にしながら積算の専門家として成長していきたいと思っています。
土木施工管理技士とRCCMの組み合わせは、建設コンサルタントの積算部門でのキャリアとして理にかなっているぞ。施工管理の経験・土木施工管理技士・RCCMという三つの軸が揃った人材は、積算の世界での希少価値が高くなるよな。

施工管理から積算職への転向を考えている人間に、一番伝えたいことはなんですか?

現場経験は積算の仕事で確実に活きます。「現場でしか通用しない」と思い込んでいる人間が多いですが、それは違う。ただ積算ソフトの知識や単価データは一から覚える必要があるので、「現場経験があれば全部通用する」という過信は禁物です。現場経験を武器にしながら、謙虚に学び直せる人間が積算職で長く活躍できると思います。
「現場経験を武器にしながら、謙虚に学び直せる人間」——これは異職種への転向全般に共通する核心だよな。前職の経験を過信せず、かつ卑下もせず、自分の強みを正確に把握したうえで転向できる人間が、3年後に「転向してよかった」と言えるぞ。

最後に、転向前の自分に言葉をかけるとしたら?

「もう少し早く動いてもよかった」ですね。35歳での転向は遅くはなかったですが、32歳で子どもが生まれたときから迷っていたのに、3年間踏み出せなかった。現場を離れることへの迷いより、子どもの顔を見て帰れる日常を選ぶことの方が大事だったと、今は迷いなく言えます。土木の10年は、数字を読む目として今も生きています。
「現場を離れることへの迷いより、子どもの顔を見て帰れる日常を選ぶことの方が大事だった」——これが貴裕さんの転向の本質だよな。10年間積み上げてきた土木施工管理の経験は、現場を離れた後も積算という形で生き続けているぞ。施工管理から内勤への転向を考えている人間にとって、貴裕さんのキャリアはその一つの答えを示しているんだよな。
まとめ
貴裕さんの話を通じて伝えたいのは、土木施工管理の経験は積算職で確実に武器になるという事実だぞ。数量拾いの精度・工事の実態を知る感覚・「この積算は現場で成立するのか」という問いを持ちながら数字を積み上げられる能力——これらはすべて施工管理経験者が積算職に転向したときに強みとして機能するよな。
一方で積算ソフトの操作・単価データの体系的な知識は、転向後に一から覚える部分だぞ。「施工管理の経験があれば全部通用する」という過信を持たずに入れる人間の方が、入社後の適応が早いよな。「現場経験を武器にしながら、謙虚に学び直せる人間」という貴裕さんの言葉が、積算職への転向で最も大切な姿勢だぞ。
「現場を離れることへの迷いより、子どもの顔を見て帰れる日常を選んだ。土木の10年は、数字を読む目として今も生きている。」——この言葉が貴裕さんのキャリアの本質を表しているぞ。施工管理から積算職への転向を考えている人間は、まず建設業界特化型のエージェントに相談して、自分の経験が積算職でどう評価されるかを確認してほしいんだよな。




