鉄道構造物のプロフェッショナルが語る、施工管理から設計職への道

源さん
源さん

今日は施工管理から設計職へ転職したなつきさんの話を紹介するぞ。8年もの間、鉄道の現場で汗を流してきた彼女は、現場での経験を武器に新たなキャリアに挑戦してるんだ。現場の厳しさややりがい、転職を決断したきっかけ、そして今の仕事での奮闘ぶりを語ってくれた。

特に、現役で頑張る施工管理のみんなにとって参考になるアドバイスが満載だ!自分の未来をどう描いていくか、一緒に考えるきっかけになる話だから、最後までじっくり読んでくれよな!

Q.簡単に自己紹介をお願いできますか?

なつきと申します。30代女性です。高等専門学校卒業後に入社した大手鉄道会社の子会社で8年間程の現場経験があります。トンネルや橋梁、土構造物の担当をしていました。

その後転職し、現在は2社目の設計事務所で鉄道構造物の設計に携わっています。現在はRC構造物を主に担当しています。

わたしの履歴書
  • 2015年3月
    高等専門学校
    土木科卒業
  • 2015年4月
    大手鉄道会社の子会社に新卒入社
    1年目から現場事務所の配属となり、鉄道構造物の維持管理分野の担当として現場責任者を従事。トンネル、橋梁、土工設備の補修を担当する。
  • 2022年6月
    本社に異動
    間接的に現場に携わるようになる。現場の技術支援や人事企画等の幅広い業務に従事。
  • 2023年4月
    鉄道構造物に特化した設計事務所に転職
    現在に至るまで、主に高架橋やボックスカルバートなどのRC構造物を担当。

施工管理ライター募集

Q.新卒で施工管理のお仕事を選ばれたのは、どんな理由からですか?

高等専門学校では土木を専攻していました。化学分野も履修しましたが、私は構造力学などの力学分野が得意で、自然と構造物に携わる仕事に就くことになりました。

業界として鉄道分野の会社を選んだのは、自社のフィールドで一定の業務があることが理想的だと感じたためです。学生時代の私はかなりの安定志向だったようです。

作業服にヘルメットで現場に行くことに特に抵抗もなく、入社してすぐに現場へ配属されました。

Q.具体的にどのようなプロジェクトや業務を担当していましたか?

施工管理と言っても、鉄道業界はメンテナンス業務がほとんどです。新しい場所に新しいモノを造る仕事ではなく、補修が必要になった構造物を修繕したり、取り替えるという業務の現場責任者をしていました。

決して1人ではできない仕事なので、何社もの協力会社さんたちを束ねて指示する必要がりあります。工程通りにいかないトラブルがあっても、時間内に終了させることが重要です。さらに、鉄道の現場は線路内であることもあるため、一般的な施工現場であることに加えて、列車の走行を阻害しないような手配が必要です。常に危険と隣り合わせの現場作業で、チームの命を背負っている仕事にプレッシャーを感じることも多かったです。

Q.施工管理のお仕事で、一番楽しかったこと、やりがいを感じた瞬間は?

施主による竣工検査が終わった時に達成感が得られます。さらに、評価が良かった時には頑張って良かったと思えますし、次の現場でも良いパフォーマンスができます。

ですが、ここまでの評価を得られるまでは、大変なことも多かったです。土木業界での時代遅れの風土は、まだなくなったとは言い切れなかったですし、未熟な若い女性であったことからか、言うことを聞いてくれない協力会社の方もいました。

その時の私は、悩むこともありましたが、「経験は時間が経たないと積めない!」と割り切って、今でもできることをしようと励み、とにかく資格勉強に勤しみました。

次第に現場の方からの信頼を得られていることを感じられるようになり、それからは仕事が楽しくなりました。

Q.施工管理から転職を考えたきっかけは、どんなことでしたか?

本社への異動の話を機に自分のキャリアを考えるようになりました。

元々、結婚や出産をしたいと考えていたので、現場での仕事には限界がることを感じていました。現場に行くと、基本的には一日中外作業で時間の融通がききませんし、妊婦になったらこの仕事は絶対にできません。いずれは事務所内で仕事ができるようになれば良いなと考えていた矢先の話でした。

さらに、当時は前例のなかった現場経験のある若い女性が本社にいることで、社内全体に影響力をもたらすことができると思って話を受けました。

今思えば、この時の私はかなり自信過剰だったように思います。資格取得は順調で、現場も1人で回せるようになったことに満足していたのかもしれません。

ですが、異動してからの現実は、専門性と経験、知識が全く足りていないことに気付かされることばかりでした。なかでも印象的だったのは、キャリア採用の方が幅広い視点から技術的なアドバイスをしてくれたり、違う会社にいたからこその視点で議論をしていたことです。次第にこの姿に憧れを抱くようになり、これまでマイナスのイメージだった転職が、転職の仕方によれば良い経験になるのかもしれないと考えるようになりました。

時間が経つにつれて、自分は何かを造るある一部に関わっていただけだと改めて思い知らされ、もっとモノを造るための根本的なことを知りたい、本を読むだけではわからない部分について自分の手を動かして理解したい、と思うようになっていきました。

そのなかで、社内での経験には限界があると感じ、自分で手を動かせる下流の会社への転職を考えました。

学生時代のような安定志向の考えはなくなっており、とにかく技術力アップのために挑戦したい気持ちが強かったと思います。自分のために自由に選択できるタイミングで転職が出来たことは今でも後悔していません。

Q.現在のお仕事は、どのような内容ですか?施工管理の経験は、今のお仕事にどう活きていますか?

現在は鉄道会社での現場経験を活かし、鉄道構造物に特化した設計事務所で働いています。設計は未経験ながら、鉄道会社での現場経験をかってもらい、転職することができました。

現場に行くことは無くなりましたが、これまで造っていた構造物を自分で計算し、一から設計しています。自らの手で計算して構造を決めることによって、これまでの疑問が解消したり、新たな発見があるため、日々にやりがいを感じられます。

設計する時には、施工の手順や工法を考慮する必要があるため、これまでの経験が役立つ場面がよくあります。設計士は、図面上で話し合うことが基本ですが、現場の知識があると施主の意見を考慮しやすいですし、新しい観点での意見を提供することもできます。

私の今後のプランとしては、まだまだ未熟な設計スキルを自分のものにすることが最初の目標です。その後は、設計から施工までに精通したスペシャリストとして再度転職するか、今後もげ現職で設計を続けるかを考えたいな、と思っています。

Q.現役で頑張っている施工管理の皆さんに、何かアドバイスはありますか?

施工管理の仕事は、体力的にも精神的にもきついことがあると思いますが、これからも土木の分野で生きていくにはこの経験が必要と言えると思います。

キャリアを考えていていると、先のことばかり考えてしまうことでしょう。でも、今いる会社だからこそできることにも目を向けて欲しいと思います。自分の考えや理想がはっきりした時がキャリアの形成の第一歩ですので、しっかりと時間を使って欲しいです。一人で考え込まず、転職エージェントと意見交換をすることによって、頭の中がスッキリするのでおすすめです。

生涯、施工管理の仕事をしていくのか、この経験を糧にステップアップを目指すのか、この先の自分が何者になりたいのかを見極めることが重要だと思います。私もそうですが、一度の転職で全てが満足できることはないと思います。今後も自分の理想と現状を照らし合わせ続けていくことが大切です。

さらに、女性技術者として言えるのは、自分のライフイベントに備える重要性についてです。男女関係のない世の中になってきたとはいえ、出産は女性にしか成し得ないこと。思い通りにいかないこともありますが、理想のライフプランを逆算して、自分にとって良い人生が送れるように行動して欲しいと思います。

源さん
源さん

なつきさんの話、めちゃくちゃ刺激を受けたよ!施工管理の現場で培った経験をしっかり活かして、設計職に転身するなんて本当にすごい。現場での厳しさやプレッシャーに立ち向かいながら、自分のスキルを磨いてキャリアの幅を広げたその姿勢、尊敬しかないな。

特に印象的だったのは、現場での信頼を勝ち取るまでの苦労と、その経験が今の設計職でも活きてるって話。やっぱり現場を知ってる人の設計は違う!現場目線で考えられるって、すごい強みになるんだなって改めて感じたよ。

それから、キャリアの転機になった「自分の手でモノを作りたい」という想いにはグッときたね。施工管理だけじゃなく、土木業界にいる人たちにとって、自分の仕事の意義を再確認するいいきっかけになる話だと思った。

あと、女性ならではのライフイベントを考慮したキャリア選びにも学ぶことが多かった。土木や施工管理の現場では、女性が直面する特有の課題も多いけど、それをしっかり乗り越えて自分の道を切り開いているなつきさんは本当にカッコいい!

現場で汗を流しているみんなにとって、このインタビューは大きなヒントになると思う。キャリアに悩んでる人、特に「現場からどうステップアップするか」を考えている人には、ぜひ読んでほしいな!