
今回は土木一筋で生きてきた48歳の話を聞いてきたぞ。
阪神淡路大震災の復興を目の当たりにして土木業界を志し、施工管理6年・建設コンサル15年を経て、今は個人事業主として県土木事務所の発注者支援業務を担っているdobokuyaさんだ。
立場を変えながらも土木の現場に関わり続けてきた人間の話は、キャリアに悩んでいる人間には参考になるはずだぞ。
自己紹介:阪神淡路大震災の復興を見て土木を志した48歳の軌跡
今回話を聞かせてもらったのは、現在48歳のdobokuyaさんだ。大学卒業後に地元の施工管理会社に入社して、道路・河川工事の現場監督として6年間働いた。
その後、建設コンサルタント会社に転職して国土交通省発注の発注者支援業務に約15年間携わり、2022年に独立。現在は個人事業主として大分県土木事務所の発注者支援業務に従事している。施工管理から発注者支援業務という転向は、土木業界の中でも「別の世界」に踏み込む話だ。
「学生時代は進路についてあまり真面目に考えておらず、安定した企業に就職できればよいという漠然とした気持ちしかなかった」とdobokuyaさんは振り返る。そこから土木一筋のキャリアを積み上げてきた背景には、一つの原体験があった。
震度7の復興が教えてくれた、土木技術者になりたいと思った理由

土木業界を目指したきっかけを教えてもらえますか?

阪神淡路大震災です。
当時私が住んでいた四国地方でも震度5強の地震が起きましたが、周囲に大した被害はなかった。
でもその日のニュースに映った兵庫県の様子は、まるで違う世界を見ているようでした。
街が火の海に包まれて、淡々と死者が増えていく。呆然と画面を見ていたことを今でも覚えています。

それが土木への入口になったんですね。

さらに驚いたのが復興の速さです。
電気や水道などの都市インフラは数日のうちに復旧して、瓦礫の山だった街並みも1年経たないうちにかなり戻っていた。
他国では真似できない日本の土木技術力と、災害に屈しない技術者たちの姿に感銘を受けました。
自分もこういった仕事に携わりたいと思ったのが、土木業界を目指すきっかけになりました。
「震災の復興速度に感銘を受けた」という原体験は、土木系の人間には共鳴する話だと思う。インフラが止まったとき、それを動かす人間の存在がいかに大きいか。
その事実が48歳になった今も、dobokuyaさんのキャリアの根っこにあるんだよな。
道路・河川工事の現場監督6年、イノシシに追われた山奥の現場の話

施工管理時代の具体的な仕事を教えてもらえますか?

道路・河川工事の現場監督です。
元請会社として工程・品質・安全管理の役割を担い、下請け会社との調整を行っていました。
ただ最初の数年はただ上司や先輩の言うことに従うばかりで、現場で右往左往するだけでした。
ベテランの重機オペレーターや大工さんに怒鳴られながら、必死に丁張を入れていたのを覚えています。

印象に残っている現場はありますか?

今まで人が立ち入っていなかった場所に道をつくる仕事がありました。
周りに何もない山奥に何日も泊り込んで、道が崩壊して現場から帰れなくなったこともある。
測量しているとすぐ近くにイノシシが出没して、慌てて逃げ出したこともありましたね。
難工事で苦労することも多かったですが、期間内に工事を終えて無事に開通できたときの達成感は格別でした。

当時の働き方はどうでしたか?

朝7時半出社、8時朝礼から17時まで現場仕事。
現場が終わり次第、事務所で書類整理や翌日の作業準備をしていました。
今と違って週休2日という考えはなく、休日出勤や残業が当然のようにある時代でした。
ただどこの土木会社も同じようなもので、当時は特に不満を感じることもなく働いていましたね。
「イノシシに追われた」という話が、山岳地帯での現場のリアルを一言で表していると思う。施工管理の現場は図面の上だけで動く仕事じゃない。
自然と戦いながら、それでも期間内に構造物を完成させる。その経験の積み重ねが、dobokuyaさんの今のキャリアの土台になっているんだよな。
現場代理人になって感じた重圧、退職を決意するまでの話

転職を考えたのはどんなタイミングだったんですか?

現場代理人をする立場になったときです。
それまでは現場のことだけ考えていればよかったのに、発注者との協議、会社への進捗報告、予算管理など責任のある仕事が一気に増えた。
しかもバブル崩壊の影響が建設業界にも広がっていた時期で、倒産する会社が周囲に増えていました。

どんなプレッシャーがあったんですか?

自分の現場管理がうまくいかないと会社の経営に悪影響を与えるんじゃないか、工事が止まると下請け会社が倒産してしまうんじゃないか。
そういったプレッシャーを常に感じるようになって、今までやりがいを感じていた仕事が辛くなっていきました。
このままでは体が持たない、肉体的にも精神的にも限界だと感じて退職を決意しました。
「自分の現場管理がうまくいかないと下請け会社が倒産するかもしれない」というプレッシャーは、現場代理人になった人間が必ず感じる重さだと思う。
自分の判断が多くの人間の生活に直結する。その責任感がやりがいでもあり、限界まで追い詰める要因にもなる。dobokuyaさんが退職を決意したのは「逃げ」じゃなくて、自分の限界を正直に見た判断だったと俺は思うぞ。
施工管理から発注者支援業務へ、立場が変わって見えてきたもの

発注者支援業務に転向して、施工管理のときと一番違うと感じた部分はどこですか?

立場が180度変わることです。
施工管理は受注者として工事を進める側でしたが、発注者支援業務は発注者と同じ側で業務を行う。
同じ現場に関わっていても、見える景色がまるで違います。

発注者支援業務というと、サポート役というイメージがありますが、実際はどうですか?

「支援」という名前から主体性のない仕事に聞こえるかもしれませんが、実際は違います。
発注者の担当職員の業務量が増えて負担が大きくなったことから生まれた業務で、現場の知識や経験、書類作成のノウハウを活用して業務を遂行する能力が必要です。
立場上は発注者と同じでも、実際は民間企業の人間として中立公平性が求められる。
発注者と施工業者の両方とコミュニケーションをとり、良好な関係を築くことが仕事の核心になります。

施工管理の経験がどう活きていますか?

施工管理会社で培った経験と知識が、この業務を遂行する大きな助けになっています。
現場の実情を知っているから、施工業者が何に困っているかが分かる。
発注者の立場でありながら、現場目線でアドバイスができる。
この「両方を知っている」という立場が、発注者支援業務では一番の強みになっています。
「両方を知っている」という強みは、施工管理を経験した人間にしか持てないものだ。発注者支援業務は、現場を知らない人間がやると書類の処理係になりやすい。
でも施工管理出身者がやると、施工業者の困りごとを発注者に正確に伝えられる橋渡し役になれる。発注者サイドにいた俺の実感として、この差は現場の進み方に直結するんだよな。
個人事業主として県土木事務所の発注者支援業務を担う今

建設コンサルタント会社を辞めて独立した理由を教えてもらえますか?

建設コンサルタント会社で15年間発注者支援業務を積み上げてきて、ある程度自分の力でやっていける自信が生まれてきました。
個人事業主として動くことで、自分の裁量で仕事を選べるようになる。
今は大分県土木事務所の発注者支援業務を担っていますが、これまで積み上げてきた経験がそのまま活きている実感があります。

個人事業主として働くことの、メリットとデメリットを正直に教えてもらえますか?

メリットは自分の裁量で動けることです。
仕事の進め方や時間の使い方を自分でコントロールできる。
デメリットは収入の安定性です。
会社員と違って固定給がないので、仕事が途切れると収入がなくなる。
ただ、15年間で積み上げてきた経験と人脈があれば、仕事が全くなくなるリスクは低いと思っています。
「経験と人脈があれば仕事が全くなくなるリスクは低い」という言葉は、15年間同じ分野で積み上げてきた人間だからこそ言える話だ。
施工管理から発注者支援業務へ転向して、さらに個人事業主として独立する。そのキャリアの積み方は、「土木業界で長く働き続けるための一つの答え」として説得力があるぞ。
施工管理経験者が発注者支援業務で重宝される、本質的な理由

dobokuyaさんの話を聞いて改めて感じたのは、施工管理の経験は発注者支援業務において「即戦力以上の価値」を持つということだ。
その理由と、業界の構造的な背景を話すぞ。
発注者の人手不足が、発注者支援業務の需要を底上げしている
国や地方自治体の土木担当職員は年々減少している。一方で老朽化インフラの更新や災害復旧工事は増え続けている。この需給ギャップが、発注者支援業務への発注量を押し上げている構造だ。
dobokuyaさんが建設コンサルタント会社を経て個人事業主として独立できたのも、この需要の安定性があるからだ。「仕事がなくなるリスクが低い」という感覚は、業界の構造として裏付けられているぞ。
現場を知っている人間が発注者側に立つと、工事の質が変わる
発注者支援業務は書類処理だけの仕事じゃない。施工業者が困っていることを発注者に正確に伝える、現場の無理を設計段階で見抜く、トラブルが起きたときに的確なアドバイスをする。これらは現場経験がない人間には難しい仕事だ。
dobokuyaさんが「施工管理で培った経験がこの業務を遂行する大きな助けになっている」と話していたのは、この話の核心だ。発注者支援業務を目指すなら、施工管理の経験は「条件」ではなく「最大の武器」になるぞ。
個人事業主という選択肢が、土木技術者のキャリアの着地点になりうる
dobokuyaさんのように、施工管理→建設コンサル→個人事業主というキャリアパスは、土木業界では一つの完成形と言える。専門性が高く、経験が長いほど価値が上がる分野だからこそ、独立という選択肢が現実的になる。
「いつまでも現場に出続けるしかない」という思い込みを持っている人間には、dobokuyaさんのキャリアは「別の着地点がある」という話として参考になるはずだ。発注者支援業務のキャリアパスについては発注者支援に強い企業ランキング6選:施工管理者がキャリアを広げるための選択肢も参考にしてくれ。
まとめ
dobokuyaさんの話を通じて一番伝えたいのは、「施工管理の経験は、立場が変わっても必ず活きる」ということだ。現場で積み上げてきた知識・判断力・人間関係の築き方。それが発注者支援業務という全く異なる立場でも、仕事の核心になっている。
阪神淡路大震災の復興に感銘を受けて土木業界を志し、施工管理・建設コンサル・個人事業主と立場を変えながらも土木一筋で生きてきた。そのキャリアの一本筋には、「土木技術者として社会に貢献したい」という原体験がずっとあったんだよな。
「施工管理を続けることに限界を感じている」「現場以外のキャリアを考えたい」という人間には、dobokuyaさんの話は具体的な選択肢を示してくれるはずだ。発注者支援業務への転向を含めたキャリアの選択肢を整理したいなら、RSG建設転職の評判を発注者側が語る。施工管理からの転職に使えるのかも参考にしてくれ。




