流通業から消防設備の施工管理へ、55歳で国内外を動かすキャリアの作り方

わたしの履歴書
源さん
源さん

今回は少し異色のキャリアの話を聞いてきたぞ。
流通業界から34歳で消防設備メーカーに転職して、営業職から自ら希望して現場エンジニアに転向して、40代でうつ病を経験してキャリアを見直して、55歳で国内外の現場を動かすポジションに至った原田さんだ。
遠回りに見えるキャリアが、全部つながっていた話を聞いてくれ。

自己紹介:流通業から消防設備業界へ、34歳の転職から始まったキャリア

今回話を聞かせてもらったのは、現在55歳の原田さんだ。もともとは流通業界にいたが、34歳のときに消防設備機器メーカーに転職した。以来21年間、同じ会社でキャリアを積み上げてきた人間だ。

「消防設備は法律で設置が義務付けられている商材なので、景気に左右されにくい。経験やスキルが給与や待遇に反映されやすく、年齢に関係なく長く働ける環境がある。その安定性に魅力を感じて転職を決めました」と原田さんは振り返る。

34歳での転職動機として、業界の構造的な安定性を見て判断したのは、流通業界でキャリアを積んできた人間らしい視点だ。

入社後は営業職からスタートして、現場エンジニアへの部署異動を自ら希望。職長・現場代理人として約8年間施工管理を経験した後、現在はセールスエンジニア兼スーパーバイザーとして国内外の現場を監督する立場にある。一本道のキャリアではなく、複数の立場を経験してきたからこそ見えてくる話がある。

わたしの履歴書
  • 34歳以前
    流通業界で営業職として従事
    流通業界でキャリアを積む。業界の安定性を見て消防設備業界への転職を決意。
  • 34歳
    消防設備機器メーカーに転職(営業職)
    法律で設置が義務付けられた消防設備業界に転職。法人向け営業として顧客との信頼構築に取り組む。
  • 入社数年後
    現場エンジニアへ自ら部署異動を希望
    「現場を知らない営業では信頼されない」と感じ、現場エンジニアへの異動を自ら希望。消防設備士の資格を取得し、職長・現場代理人として約8年間施工管理に従事。
  • 40代
    うつ病・円形脱毛症を経験、キャリアを見直す
    心身の限界を感じてキャリアを見直し。現場管理の経験と営業経験を組み合わせた新ポジションへ移行。
  • 現在(55歳)
    セールスエンジニア兼スーパーバイザーとして在籍
    国内外の現場監督・工事予算アドバイス・消防署交渉・元請け購買担当との契約交渉・メンテナンス営業を担当。入社21年目。
施工管理ライター募集

「営業だけでは信頼されない」と感じた日、現場エンジニアを目指した理由

源さん
源さん

営業職として入社して、なぜ自ら現場エンジニアへの転向を希望したんですか?

原田さん
原田さん

営業として法人のお客様と話すうちに、自分の知識不足を痛感することが続きました。
担当するお客様の多くは現場経験豊富なベテランや技術者の方々で、営業スキルだけではなかなか信頼を得られなかった。「この人は現場を知らない」と思われていると感じる場面が何度もあって、自分も現場で経験を積もうと決意しました。

源さん
源さん

現場に入ってみて、最初はどうでしたか?

原田さん
原田さん

最初は所長の補佐として現場の雑務からスタートしました。
消防設備士の資格を取得してからは職長として現場管理を任されるようになりましたが、最初から順調だったわけじゃない。現場は体力勝負で、営業とは全く違う種類のしんどさがありました。
ただ、現場を知ることで営業時代に分からなかったことが次々と見えてきて、「やっぱり来てよかった」という感覚が続いていました。

源さん
源さん

営業から現場に転向したことで、お客様との関係は変わりましたか?

原田さん
原田さん

変わりました。現場経験を積んでから営業の話をすると、「この人は現場を知っている」という空気が出る。技術的な話ができるようになって、お客様との信頼関係の質が変わった。
「現場を知っている営業」と「知らない営業」では、お客様への説得力がまるで違うんです。あの判断は正解だったと今でも思っています。

「営業スキルだけでは信頼されない」と気づいて、自ら現場に飛び込む判断ができたのは、原田さんのキャリアの中で一番重要な転機だったと俺は思う。現場を知ることで営業の質が変わる、という話は、発注者サイドにいた俺にも実感がある。

「現場を知っている人間」というだけで、相手の態度が変わる瞬間は確実にあるんだよな。

消防設備の施工管理、ゼネコン・サブコンと動く現場の実態

源さん
源さん

消防設備の施工管理は、一般の建設施工管理とどう違うんですか?

原田さん
原田さん

消防設備は消防法に準拠した設計・施工・メンテナンスが必要で、消防署との調整が必ず入ります。
大型オフィスビルや工場、ショッピングモール、高層マンションなど、様々な現場でゼネコンやサブコンと連携しながら動く。防災計画の立案から消防署との打ち合わせ、工事のスケジュール管理、予算調整、職人さんの手配まで全部関わります。

源さん
源さん

現場で一番きつかった部分はどこでしたか?

原田さん
原田さん

労働災害を防ぐ責任のプレッシャーです。
一度でも事故が起きると多くの人に迷惑がかかるし、命に関わることもある。竣工前の忙しい時期は連日残業が続いて、心身ともに追い詰められることもありました。
それから、トラブルはどんなに準備をしても必ず起きる。そのたびに原因を突き止めて対策を講じて現場を動かしていく。それが施工管理の仕事だと思っています。

消防設備の施工管理は、建築・土木の施工管理と並行して動く仕事だ。ゼネコンの工程に合わせながら、消防法という別の制約もクリアしていかなければならない。その複雑さの中で8年間現場代理人を務めてきた経験が、原田さんの今のポジションの土台になっているんだよな。

40代で円形脱毛症とうつ病を経験して、キャリアを見直した話

源さん
源さん

40代でキャリアを見直すことになったきっかけを教えてもらえますか。

原田さん
原田さん

心身の限界を感じたんです。円形脱毛症とうつ病を経験しました。
このままでは50代を乗り切れないと思った。現場の仕事は体力と精神力を削られる仕事で、40代になってそれが限界に近づいていた。「現場を離れる」という選択は、逃げじゃなくて自分を守るための判断でした。

源さん
源さん

その判断を会社に伝えることへの抵抗はありましたか?

原田さん
原田さん

ありました。8年間現場でやってきて、「現場を離れる」と言うことへの引け目がありました。
ただ、これまで積んできた現場管理の知識と、入社当時の営業経験を組み合わせれば、新しいポジションで貢献できるという確信もあった。「現場経験と営業経験の両方を持っている人間は、社内でも少ない」という自分の強みを整理できたことが、動けた理由だと思います。

源さん
源さん

うつ病を経験したことは、今のキャリアに影響していますか?

原田さん
原田さん

影響しています。今スーパーバイザーとして現場の若い施工管理を見ているとき、「この人は追い詰められていないか」という目線が自然に入るようになりました。
自分が経験したからこそ、サインに気づきやすい。あの経験は苦しかったですが、今の仕事に活きていると思っています。

「逃げじゃなくて自分を守るための判断」という言葉が刺さった。施工管理の現場で限界まで頑張ることを美徳とする空気はまだある。

でも原田さんが40代で自分の状態を直視して、「このままでは50代を乗り切れない」と判断して動けたのは、勇気のいる話だと思う。その判断があったから、55歳で現役で国内外の現場を動かせているんだよな。

セールスエンジニア兼スーパーバイザー、現場と営業の両方を知る人間の仕事

源さん
源さん

今の仕事の具体的な内容を教えてもらえますか。

原田さん
原田さん

スーパーバイザーとして国内外の現場を監督して、工事予算のアドバイスや施工方法の指導、消防署との交渉を担当しています。
セールスエンジニアとしては、元請けの購買担当との契約交渉や、施工後のメンテナンス営業も担当しています。現場の実情を理解した上で営業できるので、お客様との信頼関係を築きやすいポジションだと思っています。

源さん
源さん

現場管理と営業の両方を担当することで、どんな強みが生まれていますか?

原田さん
原田さん

現場の実情を知っているからこそ、的確なアドバイスができるし、お客様とも深い信頼関係を築けます。「この工法だと現場でこういう問題が起きる」という話を、営業の場面で具体的にできる。
現場だけの人間にも、営業だけの人間にも出せない提案ができるのが、このポジションの強みだと思っています。

源さん
源さん

1日の仕事の流れはどんな感じですか?

原田さん
原田さん

現場の状況確認やスーパーバイザーとしての指導対応が午前中に入ることが多いです。午後はお客様との打ち合わせや契約交渉、消防署との協議が入ることもある。
国内だけでなく海外の現場も担当しているので、時差を考慮したやり取りが必要な日もあります。現場管理のときとは「忙しさの種類」が違いますが、充実しています。

「現場だけの人間にも、営業だけの人間にも出せない提案ができる」という言葉が、原田さんのキャリアの全体像を表していると思う。

流通業界での営業経験、消防設備メーカーでの営業経験、現場エンジニアとしての8年間。一見バラバラに見えたキャリアが、このポジションで初めて一本につながったんだよな。

55歳で国内外の現場を動かす、施工管理経験者が行き着いたポジション

源さん
源さん

55歳になった今、キャリアを振り返ってどう感じていますか?

原田さん
原田さん

遠回りに見えたキャリアが、全部つながっていたと感じています。
流通業界での営業経験、消防設備業界での営業、現場エンジニアとしての積み上げ。どれ一つ無駄じゃなかった。特に現場での8年間は、今のスーパーバイザーとしての仕事の核心になっています。現場を知らない人間には、現場の人間を動かすことはできないと思っています。

源さん
源さん

40代でうつ病を経験して、それでも同じ会社で21年続けられた理由は何ですか?

原田さん
原田さん

会社の中でポジションを変えられたことが大きかったです。
「現場を離れる=会社を辞める」じゃなくて、「現場を離れて別の形で貢献する」という選択肢があった。それを会社が受け入れてくれた。同じ会社の中でキャリアを作り直せる環境があるかどうかは、長く働き続けられるかどうかに直結すると思っています。

源さん
源さん

55歳になった今も挑戦を続けているということですが、今後はどう考えていますか?

原田さん
原田さん

まだやれることがあると思っています。
国内外の現場を動かす経験は、この年齢でもまだ積み上げられる。消防設備という分野は法律が絡む専門性の高い仕事なので、経験が長いほど価値が出る。「年齢に関係なく長く働ける」と思って34歳で転職したのが、今の自分につながっているんだと感じています。

「同じ会社の中でキャリアを作り直せる環境があるかどうか」という話は、転職だけがキャリア変化の手段じゃないという視点を与えてくれる。

原田さんのように、同じ会社の中でポジションを変えながら21年積み上げてきたキャリアは、転職を繰り返してきたキャリアとは違う強みがある。「どこに行っても通用する」じゃなくて「ここで誰よりも深く知っている」という専門性の話だぞ。

現場で築いた人脈が、次のキャリアを開く話

源さん
源さん

現場での人脈は、キャリアにどう影響しましたか?

原田さん
原田さん

現場での出会いは一期一会で、そのご縁が自分を成長させてくれると思っています。
一緒に苦労を分かち合った仲間との信頼関係は、現場が終わっても続く。その人脈が新たな仕事につながることもありますし、困ったときに助けてもらえることもある。
現場の人間関係を大事にしてきたことは、キャリアを振り返ったときに間違いなかったと思っています。

源さん
源さん

具体的に人脈がキャリアに影響した場面はありましたか?

原田さん
原田さん

現場で信頼関係を築いたゼネコンの担当者が、別のプロジェクトで声をかけてくれたことがあります。
「原田さんなら任せられる」という評価が、次の仕事につながる。
これは現場で一緒に汗をかいてきた関係だからこそ生まれる話で、営業だけの関係とは全く違う信頼の深さがあります。

「現場で一緒に汗をかいてきた関係」という信頼の話は、施工管理を経験した人間には分かる感覚だと思う。

現場の人間関係は、困難を共有した分だけ深くなる。その積み重ねが、キャリアの節目で思わぬ形でつながってくることがある。原田さんが21年間同じ業界で積み上げてきた人脈は、そのまま原田さんのキャリアの資産になっているぞ。

消防設備業界と施工管理経験者の市場価値

源さん
源さん

原田さんの話を聞いて改めて感じたのは、消防設備という分野の特殊性と、現場経験者が持つ長期的な価値だ。

法律で設置が義務付けられた消防設備は、景気に左右されにくい安定した分野だ

消防設備は消防法によって設置・維持管理が義務付けられており、建物がある限り需要がなくなることはない。新築工事が減っても、既設建物のメンテナンスや更新工事は継続的に発生する。

原田さんが34歳で転職先にこの業界を選んだ理由の一つが「景気に左右されにくい」という構造的な安定性だったが、21年経った今もその判断は正しかったと言えるぞ。

この記事の主人公も、最初の一歩は相談からだったぞ。

現場経験のある消防設備技術者は、年齢を重ねるほど価値が上がる

消防設備の施工管理は、消防法の知識・ゼネコンとの調整経験・消防署との折衝スキルが必要な専門性の高い仕事だ。

これらは経験を重ねるほど深まる知識で、若手がすぐに代替できるものじゃない。原田さんが55歳で国内外の現場を動かすポジションにいるのは、その専門性が年齢とともに価値を増してきた結果だ。「年齢に関係なく長く働ける」という転職当初の判断が、21年後に証明されている形だぞ。

施工管理経験者が「現場を離れる」タイミングをどう考えるか

原田さんは40代でうつ病を経験して、現場を離れる判断をした。これは「敗退」じゃなくて「戦略的な転換」だった。現場管理の経験と営業経験を組み合わせたポジションに移ることで、現場では担えなかった役割を担えるようになった。「いつまでも現場に出続けることが正解か」という問いは、施工管理のキャリアを考える全員が向き合うべき話だ。

体力や精神力に限界が来る前に、自分の経験を別の形で活かせるポジションを考えておくことが、長く働き続けるための準備になるぞ。施工管理からのキャリアパスについては施工管理のキャリアパス「完全マップ」現場から発注者・内勤までも参考にしてくれ。

まとめ

原田さんの話を通じて一番伝えたいのは、「遠回りに見えたキャリアが、全部つながっていた」ということだ。流通業界での営業、消防設備業界での営業、現場エンジニアへの転向、40代での限界とキャリアの見直し。それぞれの経験が積み重なって、55歳で国内外の現場を動かすポジションに至っている。

「現場を知っている営業」「営業を知っている現場管理者」。どちらか一方だけのキャリアを歩んできた人間には出せない強みが、原田さんにはある。その強みは、一つひとつの経験を本気でやってきたからこそ生まれたものだ。

40代で限界を感じたとき、「逃げじゃなくて自分を守るための判断」として動けたことが、55歳での現役につながっている。

施工管理の現場で消耗している人間には、原田さんの話は「現場を離れることは負けじゃない」というメッセージになると思うぞ。キャリアの選択肢を整理したいなら、RSG建設転職の評判を発注者側が語る。施工管理からの転職に使えるのかも参考にしてくれ。