
現場からキャリアを積み上げてきたHさん。今ではセールスエンジニアとスーパーバイザーという役割で活躍しているんだよな。話を聞いてると、現場で身につけた技術や人とのつながりが、次の挑戦への大きな力になってるのがよくわかる。55歳になった今も挑戦を続けるその姿勢は、現場で頑張る仲間たちや、これからのキャリアに悩んでいる人たちにとっても、大きな励みになるんじゃないかな。
Q.簡単に自己紹介をお願いできますか?
消防設備機器メーカーで21年働いているHです。今年55歳になります。
もともとは流通業界にいたんですが、34歳のときに消防業界に転職しました。最初は営業職で入社しましたが、8年間その仕事を続けているうちに現場のエンジニアになりたいと思うようになり、希望して部署異動をしました。
そこから現場管理を任されるようになって、職長や現場代理人として約8年間のキャリアを積みました。今はセールスエンジニア兼スーパーバイザーとして、現場と営業の両方をサポートする役割を担っています。
Q.新卒で施工管理のお仕事を選ばれたのは、どんな理由からですか?
正確に言うと、私は中途採用でこの業界に入りました。消防業界を選んだ理由は、消防設備って法律で設置が義務付けられている商材なので、景気に左右されにくいんです。業界の安定性と、経験やスキルが給与や待遇に反映されやすい点も魅力的でした。また、年齢に関係なく長く働ける環境があるのも大きかったです。
もともと営業職として入社したんですが、担当する法人のお客様と話すうちに、自分の知識不足を痛感することがありました。お客様の多くは現場経験豊富なベテランや技術者の方々で、営業スキルだけではなかなか信頼を得られなかったんです。そこで、自分自身も現場で経験を積もうと決めました。
最初は所長の補佐として、現場の雑務からスタートしましたが、消防設備士の資格を取得してからは職長として現場管理を任されるようになり、8年間の経験を積むことができました。
Q.具体的にどのようなプロジェクトや業務を担当していましたか?
私の仕事は、消防法に準拠した消防設備機器の設計、施工、メンテナンスなど、多岐にわたるものでした。特に工事部ではゼネコンやサブコンと連携して、大型オフィスビルや工場、ショッピングモール、高層マンションなど、さまざまな現場で施工管理を行っていました。
具体的には、防災計画の立案から消防署との打ち合わせ、工事のスケジュール管理、予算調整、職人さんの手配、さらには施工品質の確認まで、全てに関わりました。現場では元請けや下請けの業者さん、他業種のスタッフと調整しながら進めていきます。どんなに準備をしてもトラブルはつきものです。そのたびに原因を突き止め、対策を講じて現場を動かしていく。それが施工管理の仕事だと思っています。
Q.施工管理のお仕事で、一番楽しかったこと、やりがいを感じた瞬間は?
一番のやりがいは、やっぱり工事が無事に完了したときですね。特に大規模なプロジェクトが予定通りに竣工して、元請けや施主の方に喜んでもらえたときは本当に達成感を感じます。それから、現場で一緒に苦労を分かち合った仲間たちと達成感を共有する瞬間も、何にも代えがたい喜びでした。
現場での出会いは一期一会ですし、そのご縁が自分を成長させてくれるんです。
ただ、現場は厳しい環境でもあります。特に労働災害が発生しないようにする責任は非常に重いです。一度でも事故が起きると、多くの人に迷惑がかかりますし、場合によっては命に関わることもあります。そんな緊張感の中で、常に注意を怠らないようにするのは簡単なことではありません。竣工前の忙しい時期なんて、連日残業が続いて心身ともに追い詰められることもありました。
Q.施工管理から転職を考えたきっかけは、どんなことでしたか?
40代のころに、心身の限界を感じたことがありました。一時は円形脱毛症やうつ病を経験してしまって、このままでは50代を乗り切れないと思ったんです。そこで、これまでの経験や資格を生かして、現場以外でキャリアを広げる道を探すようになりました。
現場管理や技術指導のスキルと、営業職で培った交渉力を組み合わせることで、新たなポジションを目指せると考えました。その結果、現在のスーパーバイザー兼セールスエンジニアという役職に就くことができました。
Q.現在のお仕事は、どのような内容ですか?施工管理の経験は、今のお仕事にどう活きていますか?
現在は国内外の現場を監督するスーパーバイザーとして、工事予算のアドバイスや施工方法の指導、消防署との交渉などを行っています。また、セールスエンジニアとして、元請けの購買担当との契約交渉や、施工後のメンテナンス営業も担当しています。
施工管理時代に培った現場での知識やスキルは、この仕事で大いに役立っています。現場の実情を理解しているからこそ、的確なアドバイスができるし、お客様とも深い信頼関係を築けるんです。
Q.現役で頑張っている施工管理の皆さんに、何かアドバイスはありますか?
施工管理の仕事で得られるスキルは、どの業界でも通用するものばかりです。プロジェクト管理や問題解決能力、コミュニケーション力は、今後のキャリアに必ず役立ちます。転職を考えている方は、まず自分のスキルや経験を棚卸ししてみてください。その上で、どんなキャリアを目指したいのかを明確にするといいと思います。
また、現場での人脈やネットワークはとても重要です。一緒に働いた人たちとのつながりを大切にしてください。そのご縁が、新たなチャンスを運んでくれることもあるはずです。

Hさんの話には現場で働いてきた人間ならではのリアルな重みがあるよな。現場管理って、体力も精神力も削られる仕事だけど、その中で自分の道を切り拓いていく姿勢が伝わってきたよ。特に、営業職から現場に飛び込んでエンジニアになりたいって思った時点で、Hさんの覚悟は本物だったんだと思う。
やっぱり現場での経験って、どこに行っても活きるんだよな。人とのつながりを大事にして、そのご縁を次のステップにつなげていくっていう姿勢も素晴らしい。Hさんの55歳での挑戦は、これから施工管理を続けていく人たちにとって、すごくいいお手本になると思ったよ。
それにしても、現場の責任って本当に重いよな。労災を防ぐために細かく目を配るなんて、簡単なことじゃない。それを乗り越えてきたHさんだからこそ、今のポジションがあるんだと思う。俺も現場の仲間たちに、Hさんのように挑戦し続ける大切さを伝えていきたいなって思ったよ。