施工管理から不動産業へ転身、経験が活きた瞬間とは?

源さん
源さん

高校で土木を学び、施工管理として現場でバリバリ働いていた彼だけど、腰痛をきっかけに不動産業界へ転職したんだ。現場で積み重ねた経験が、新しい仕事で意外な形で役立つようになったって話だ。本記事では、施工管理と不動産業という一見別世界に思える分野をつなぐ、彼のキャリアの歩みを紹介していくぞ。

Q.簡単に自己紹介をお願いできますか?

ヒロと申します。年齢は41歳、施工管理(監督)としての勤務歴は2年です。その前は作業員として3年現場で働いておりました。学生時代は高校で土木科を専攻しておりまして、大学には進学せず、内定をもらった土木の会社に入りました。

現在は不動産(賃貸)の仲介・管理会社で勤務しております。

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Q.新卒で施工管理のお仕事を選ばれたのは、どんな理由からですか?

動機というのは特になく、高卒で就職できた会社にそのまま就職したという流れです。

まず中学卒業時に土木科を選んだ理由としては、父が工務店経営の大工をやっていて、自宅に家を建てるために必要な知識が詰まった本がたくさん並んでいたこと、それを小さい頃から見ていたことが挙げられます。

Q.具体的にどのようなプロジェクトや業務を担当していましたか?

業務内容のうち監督として経験したのは道路舗装、下水道本管布設工事、たまに造園土木の現場を担当しました。

チームは私を含む監督が3人、親分が2人、作業員が5人という小さな会社でしたので常にそのメンバーで動いておりました。日々の仕事内容ですが、業務時間は8時~17時まででした。通常の現場は8時から始まりますが、在籍していた会社は8時までに集合、そこから現場に向かうというちょっとゆるい感じの会社でした。

現場は17時に終わり、戻ってきても17時半とかだったので、そこからお風呂に入っても18時でした。当時は若かったのでそこから飲みに出かけたりしていましたが、引っ越し費用を貯めるため、飲食店(松屋)でアルバイトをして掛け持ちで稼いでいた時期もあります。

※松屋はまかないが出るので、食欲旺盛な時期には大変助かりました。

Q.施工管理のお仕事で、一番楽しかったこと、やりがいを感じた瞬間は?

一番楽しかったこと・やりがいを感じた瞬間はやはり自分が担当した現場が完成した時ですね。道路舗装であれば目に見える場所が綺麗に舗装され地域住民から喜ばれたこと、下水道本管布設工事は目に見える部分ではマンホールだけですが完了検査のため役所担当者の立会いで、下水道の本管内部を一緒に見た後に「よくできております」と一言頂けたことですね。

構造物は数十年もつので、自分が生きている間はその現場を通ると目に付くので、やりがいはかなりありました。

逆にどんなことが大変だったかというと、まずは気温の変化です。夏は35度を超える中ヘルメットを被り、現場は半袖禁止なので長袖長ズボンという格好で常に汗だくでした。シャツの着替えは3着常備していました。冬は10度を下回る日も多く、そんな中でも現場に立ち続けなければいけないため、体調管理が非常に難しかったのを覚えています。

また、下水道本管布設工事にて測量ミスがあり、一度入れた本管を20mほどやり直したことがありました。一度全て掘り起こす作業が必要なため、約1週間かけて戻しましたがそのときは本当にきつかったです。その埋め戻しが発覚した時は、親分を始め社員の人に頭を下げ、一度完了した部分を全てやり直すという途方もない作業で多大な迷惑をかけました。

現場のみんなが快く受けてくれたのが何よりの救いでしたが、自分の不甲斐なさと、売り上げの減少に繋がってしまったことが非常に悔やまれました。逆にその部分の測量をしっかり行い、やり直しができたときはホッとしましたし、そのときのメンバーには感謝しております。

施工管理の仕事はまず役所から発表される工事内容について、社内で利益をいくら出せるのかを最終確認して予算を組み入札して落札するなど一連の流れがあります。材料や人件費を考慮して、1つ1つの現場を組み立てていくことが楽しかったのを覚えています。

Q.施工管理から転職を考えたきっかけは、どんなことでしたか?

施工管理(監督)業から転職を考えたきっかけですが、まず自分の体調のことが一番に挙げられます。重度の腰痛を発症してしまったのです。20代前半でしたが当時は60歳以降もこの状態で働き続けるのか…と疑問を抱き、転職を考えるようになりました。あとは人間関係も要素としては少しあったかと思います。

ターニングポイントになった出来事については、在職中にこっそりハローワークに行き職探しをしたところ、家の近くに賃貸仲介の会社から求人を出しているのが目につきました。ホワイトカラーへの転職を考えていたので、勢いで応募し採用になったため、思い切って会社に退職届を出しました。今となってはこの行動が正しかったと思っています。

Q.現在のお仕事は、どのような内容ですか?施工管理の経験は、今のお仕事にどう活きていますか?

営業所の責任者などを歴任しましたが、施工管理の仕事については、大規模修繕など物件の不具合について相談を受けたときや修繕内容・ご提案に関しては施工管理の経験が活かされ信頼を得ることができました。また2級土木施工管理技士と名刺に記載があるため、「不動産だけではなく工事の方もわかる人なのね」と信頼を得ることに繋がっております。

私がいる部署は営業になりますが、修繕現場の提案の際に「見積もりの中で、この場所はこの部材がいいのではないでしょうか」とこちらから提案をして、当初出した見積もりから金額が下がったことがありました。物件所有者様は初めに見ていた金額よりも安い金額で工事を進めることができたので、大変有難いと感謝されました。 

例えば、外構でインターロッキングという部材を敷き詰める作業がありますが、見積もりに出ていた部材ではなく自分が知っている部材を提案したところ金額が下がったり、おしゃれな仕上がりになったりと、現場を一度でも経験していると分かることも多くあります。

また現場作業中に物件所有者様と進捗確認のため2人で立っていたところで質問があったので「今やっている作業は○○の工事をしています、日程は〇日くらいかかるのが一般的です」と解説をしたことで、物件所有者様が疑問に思っていたことが解決したと感謝されました。やはりそれは施工経験がないと分からないことかと思います。

監督や現場作業員の大変さがよくわかるので、もし自分が担当する物件や自宅などをお願いする立場でしたら、差し入れを持っていくなど現場側から感謝されることもあります。

また現場側の目線として期待してはいけませんが、こちらが経験者となると手抜き工事はできないなとか、通常の現場と同等もしくは少し力を入れてもらえるなどの恩恵もあるかと思います。

Q.現役で頑張っている施工管理の皆さんに、何かアドバイスはありますか?

施工管理という仕事は、現場を束ねることや何かあったときに責任を負うなど、非常に重大な仕事ではあります。やりがいもある一方、ふとしたきっかけにより自分の心の中の火が消えてしまう時もあるかもしれません。

今の会社に対してなのか人に対してなのか、十分見極めた上でもし施工管理という仕事が嫌でなければ、同業他社の求人を検索してみるというのも一つの手かもしれません。私も今は違う仕事をしておりますが、施工管理をしていた当時のことを思い出すと、いい経験だったなとプラスに捉えるようにしております。

現場からは頼られ、会社の上司からは詰められ、難しい立場ではありますが一度きりの人生、今の業務の経験が必ず活きてくる場面があると思います。ある程度経験を積めば、同業他社でなくても別業種で採用されるかもしれません。

したがって今の目の前の仕事を一生懸命やること、そして次に繋がる架け橋ができたときには思い切って渡ってみること。これが私の持論です。

源さん
源さん

この記事を読んで、ヒロさんの経験がめちゃくちゃリアルで共感する部分が多かったなぁ。施工管理に2年、その前に作業員として3年の経験があるってことで、現場の細かい部分まで知り尽くしてるのが伝わってくる。こういう現場の生々しい話って、読む側にとってすごく貴重だし、施工管理のリアルを知りたい人には刺さる内容だよ。

プロジェクトの話が興味深い。道路舗装や下水道工事の話なんて、まさに現場そのものだよな。特に、測量ミスで本管をやり直したってエピソード、これは施工管理者なら誰もが「やっちゃいけないミス」って身につまされる部分だと思う。けど、その失敗をチームで乗り越えたっていう話には、現場の人間関係の温かさが感じられて、すごく心に響いた。やり直した時の「ホッとした瞬間」や感謝の気持ちって、こういう仕事だからこそ味わえる特別なものだよな。

転職のきっかけも現実的で共感できる部分が多い。腰痛って本当に現場作業員や監督の大敵だよな。若い頃は勢いで乗り切れても、ふと将来を考えると、「このままじゃ体が持たない」って不安になるのはすごく分かる。そして、ホワイトカラーへの転職を決めた行動力には脱帽だね。思い切ってハローワークに行ってみたって話、なんか親近感が湧くよ。

今の仕事についても、施工管理の経験がしっかり活きてるのがよく分かる。「現場目線の提案が物件所有者から信頼を得る」って、まさに経験がモノを言ってるよね。見積もりに対する具体的な提案や、工事の進捗を丁寧に説明する姿勢なんかは、施工管理を経験していなかったらできないことだと思う。こういう「現場感覚」を活かして、今の職場でも感謝されているっていうのは、すごく素晴らしいことだと思う。