
施工管理から発注者支援業務に転職すると、働き方はどう変わるのか?施工管理の経験は活かせるのか?今回は、元ティーネットジャパンの施工管理者であるdobokuyaさんに、発注者支援業務のリアルを聞いてみた。ティーネットジャパンが選ばれる理由、施工管理との違い、やりがいや転職のポイントまで、実体験をもとに語ってもらった。発注者支援業務に興味がある人は、ぜひ読んでほしい。
前職とティーネットジャパンに転職するまでの経緯

dobokuyaさんのご経歴とティーネットジャパンに転職するまでの経緯を教えてください。

施工管理の現場はとにかく忙しくて、体力的にも精神的にもかなり負担がかかります。でも、そんな環境から抜け出す選択肢があると知れたのは、大きな気づきでした。
発注者支援業務は未経験で不安もありましたが、転職して働き方がガラッと変わりました。環境を変えたいと考えているなら、一歩踏み出してみる価値は十分にあると思います。
(dobokuyaさん)私は大学卒業後、地元の建設会社で6年間施工管理の仕事をしていました。
当時は朝早くから夕方まで現場仕事、現場が終わってからは書類整理と多忙な日々で、残業や休日出勤は当然のようにありました。
過酷な労働環境にストレスを感じていた私は、次第に仕事を続けていくことが苦痛になりました。
そんな時、発注者支援業務仕事をしている知人から転職の誘いがありました。その知人も元々は施工管理の仕事をしていましたが、発注者支援業務に興味を持ちティーネットジャパンに転職したそうです。
発注者支援業務がどんな仕事かよく知らなかった私も、知人の話を聞いているうちに次第に興味をもつようになりました。
労働環境を変えたいという思いも手伝い、ティーネットジャパンに転職することとなります。ティーネットジャパンを選んだ理由は知人の紹介があったこともありますが、建設業界では名の知れた企業であること、給与面等の待遇が他社と比較してよかったことも決めてとなりました。
施工管理経験者がティーネットジャパンを選ぶ理由

実際に転職した人はどんな理由でティーネットジャパンを選んでいるのでしょうか?

発注者支援業務の実績が豊富で、教育体制がしっかりしているのは大きな強みですね。未経験でも安心してスタートできますし、勤務地の希望にも柔軟に対応してもらえるのはありがたいです。待遇面の手厚さも考えると、施工管理からの転職先として人気があるのも納得できます。
(dobokuyaさん)ティーネットジャパンは発注者支援業務が始まった当初より業務を受注しており、知名度、受注実績ともに業界トップクラスの企業です。
長年培った発注者支援業務のノウハウがあり、社員への教育制度も充実しています。そのため、初めて発注者支援業務を経験する技術者も安心して業務に着手することができます。
また、ティーネットジャパンは全国各所に事業拠点を展開しており、技術者の要望に沿った業務場所を用意してもらえます。仮に遠方への配属となった場合でも、住宅手当や交通費の補助など、サポート面も充実しています。そういった理由から、転職を考える技術者に選ばれやすいのではないでしょうか。
発注者支援業務とは?施工管理との違いを解説

発注者支援業務を簡単にいうとどのような仕事ですか?施工管理との違いを教えてください。

施工管理と発注者支援業務は、似ているようで立場がまったく違います。施工管理は現場で工事を進める側ですが、発注者支援業務は発注者の立場でサポートする役割になります。監督補助業務では、現場経験があるとスムーズに対応できますが、書類の確認や発注者との調整業務も多くなります。施工管理の知識を活かせる仕事ですが、人によって向き不向きがあるかもしれません。
(dobokuyaさん)施工管理は発注された工事を施工業者として受注し、工程管理、品質管理、原価管理、安全管理を行いながら工事を完成させる仕事ですが、これに対し発注者支援業務は公共工事の発注に伴い発生する仕事を、発注者に代わり行うものです。施工管理が工事受注者の仕事であるのに対し、発注者支援業務は発注者側に立ち業務を行います。その点が両者の大きく違うところです。
発注者には、国、県、市町村やNEXCOなどの企業があります。
これら発注者が業務をすべて行っていましたが、業務量が多く職員の負担が増えたこと、民間の雇用を増やす目的があったことを背景に、発注者支援業務がつくられました。
また、発注者支援業務にも様々な種類があります。
例えば、工事発注の際に必要な図面、数量計算書の作成、積算資料の作成を目的とした「積算補助業務」、工事発注後から完成までの施工状況の確認、提出資料の確認、検査への臨場を行う「監督補助業務」、発注者が行う事業計画や地元説明などで使用する資料等を作成する「資料作成業務」などです。
この中でもティーネットジャパンにおいて受注件数が多く、特に力を入れているのが「監督補助業務」ですので、監督補助業務の内容を主として説明いたします。
監督補助業務は工事の発注~完成までのプロセスが円滑に進められるよう、発注者が行う現場監督業務や提出書類の確認等をサポートする仕事です。
受注者が作成した構造物が設計図書通りにできているか、材料は仕様書に適合したものか、提出書類に不備がないか等をチェックする必要があります。
つまり、現場経験や書類作成経験がないと務まらない業務なのです。
このことは監督補助業務の入札説明書をみてもわかりますが、担当技術者の資格要件に一級土木施工管理技士などの資格を有するものとされています。
発注者は現場経験が豊富で土木に関する知識を持ち合わせている技術者を求めているのです。そういった意味では、施工管理出身の技術者は監督補助業務の適性がある優秀な人材であると言えるでしょう。
ティーネットジャパンでの発注者支援業務のリアル

具体的にどんな仕事をしていたのでしょうか?労働時間や休日の過ごし方はどう変わりましたか?

施工管理と比べると、働き方が大きく変わりました。現場に出ることもありますが、基本的にはデスクワークが多く、発注者側の立場で仕事を進めます。土日祝日が休みで、持ち帰りの仕事がないのは、大きな違いですね。
ただ、その分、責任は重く、細かい調整や書類のチェック業務が多いです。それでも、大規模なプロジェクトを発注者とともに進め、無事に完成したときの達成感は格別でした。
(dobokuyaさん)私がティーネットジャパンで主に担当していた、国土交通省発注の発注者支援業務(監督補助業務)について少し掘り下げて説明いたします。
まず業務場所について。現場に近い場所に別室を構えて業務を行うこともありますが、多くは国土交通省の庁舎内の職員と同じフロアで業務を行っておりました。
職員と同じ職場環境ですので、基本的に土日祝日は休みです。データの持ち出しも禁止されておりますので自宅に持ち帰って作業することもありません。
ちなみに、完全週休二日制です。残業は平均して月30~40時間程度ありますが、職員と大きく変わらないと思います。休暇も業務に支障がないタイミングであれば問題なく取得できます。
施工管理をしていた頃の私にとっては考えられない職場環境です。
現在は土木の工事現場でも週休二日制の考えが浸透しており、休日作業は以前と比べ減少していますが、施工管理は現場だけでなく書類仕事も多いので、特に工期末などは休日返上で内業に追われているのが実情ではないでしょうか。
次に監督補助業務の一日の仕事の流れについて説明します。
出社後まずパソコンを起動し、メールチェックや担当工事のスケジュールの確認を行います。その後職員と打合せを行い、当日の作業内容について連絡・調整します。施工管理時代は、日中は現場にでずっぱりでしたが、監督補助業務ではデスクワークのほうが多いです。
内業7、現場3くらいの割合でした。
発注者と受注者の間でやり取りされる書類は電子データで行い、図面の作成、修正といった作業もCADを使用するため、内業の多くはパソコンがあれば事足ります。
現場では工事の立会や施工状況の確認を行い、必要に応じ施工方法や安全対策の助言などを行います。
事故の発生や施工の不備による手戻りは工程の遅延、工事の品質低下に繋がるため、これらの発生を未然に防ぐことも監督補助業務に求められる重要なタスクです。
国土交通省発注の工事は規模が大きく、それだけ監督補助業務に求められる責務も大きくなりますが、発注者、受注者と協力しながら、工事を無事にやり遂げた時の達成感もひとしおです。
また、そういった実績を積み重ねて発注者や会社の信頼を得ることで、プロジェクトの業務リーダーや管理技術者など、技術者としてより高いポジションへステップアップできる可能性も高まります。
ティーネットジャパンでの発注者支援業務のリアル

ティーネットジャパンへの転職を成功させるには?後輩に何か一つアドバイスをお願いします。

発注者支援業務は、単なる事務仕事ではありません。技術力はもちろんですが、それ以上に大切なのが、コミュニケーション能力やコンプライアンスを意識することです。
発注者や受注者とうまく連携が取れないと、業務が円滑に進まなくなってしまいます。また、常に新しい知識を学び続ける姿勢も求められるため、施工管理と同じ感覚でいるとギャップを感じるかもしれません。
しかし、その分キャリアの選択肢は広がりますし、働き方も安定します。施工管理の経験を活かして、次のステップに進むには、とても良い選択肢だと思います。
(dobokuyaさん)発注者支援業務で求められるスキルは現場を管理する能力、書類や図面を把握し、作成する能力なのですが、経験の少ない若手技術者はともかく、ある程度年齢を重ねたベテラン技術者であればできて当然であるという前提で発注者は接してきます。
また、それとは別に発注者支援業務を行ううえで必要不可欠なスキルがあります。それは「コミュニケーション能力」「コンプライアンスの遵守」「自己研鑽」です。
コミュニケーション能力が足りないと発注者との連携がうまくいかない、受注者への信頼が得られないなど、業務に悪影響を及ぼしかねません。
発注者支援業務を円滑に行うためには、受発注者と連絡を密にとり、工事の問題や課題の情報共有を積極的に行うなど、適切なコミュニケーションを図る必要があります。
また、発注者支援業務に従事する者は発注者側の立場で業務を行いますが、実際は公務員ではなく民間企業の人間です。しかし、地元住民や外部機関からは同じ発注機関の人間とみられるでしょう。
そのような立場でコンプライアンスに違反するような行動を起こすと、発注者への信頼が損なわれることになります。従ってただ仕事をこなすだけではなく、コンプライアンスを意識した行動を常に心がける必要があります。
最後に自己研鑽能力です。
発注者支援業務は発注機関の定める仕様書や基準類に則り業務を行いますが、これらは社会的動向や現場の実態を踏まえて改定されます。
現場の施工についても新技術・新工法の活用で従来のものよりも優れたものが次々に登場します。発注者支援業務を行うにあたり、常に最新の情報を入手し、業務に係る知識をバージョンアップできるよう、専門誌を購読する、講習会に参加するなどの自己研鑽をする必要があります。
ただ知識を習得するだけでなく、得た情報を関係者に提供し、活用の助言をすることで工事の品質向上を図ることも必要です。
施工管理技士や技術士、RCCMなどの専門的な資格を取得することも、受発注者の信頼を得る助力となるでしょう。
さて、これまで発注者支援業務について説明してきました。現在施工管理の仕事をされている方で、発注者支援業務に興味を持った方もおられると思います。
私の場合は過酷な労働環境を変えたいと思ったことがきっかけでしたが、勤めている会社の業績悪化による将来の不安、給与面等待遇への不満といったことで転職を考える方もいるのではないでしょうか。
発注者支援業務に携わっている会社に転職しても、その不安が解消できるとは限りませんが、少なくともこの業務は発注機関が工事を発注する限り、需要がなくなることはありません。
また、発注者支援業務が始まった当時は業務を受注できる企業は少なかったのですが、現在は全国で数多くの企業が入札に参加し、競争が激化しています。
それに対し業務に就ける資格をもった技術者は不足しており、どの企業も技術者の確保に苦労している状況です。
技術者はより好条件で雇用してもらえる企業を選択できる時代となっています。
業務に適性があり、高い技術力をもった技術者であればなおさらです。
発注者支援業務を単なる転職ではなく、施工管理で得た経験を最大限に活用できる、キャリアのステップアップの場として捉えてみてはどうでしょうか。
今後の発注者支援業務について

技術者不足が進む中、発注者支援業務の人材需要は今後どうなりますか?

災害復旧やインフラの維持管理の需要は、これからさらに増えていくはずです。
発注者支援業務も、それに対応できる技術者が求められる時代になっています。現場経験だけでなく、最新の技術や基準を学び続けることが大切ですね。社会のインフラを支える仕事として、技術者の役割はこれからさらに大きくなっていくと思います。
(dobokuyaさん)近年多発している異常気象による災害や、先日発生した下水管の老朽化による陥没事故からもわかるように、我が国では災害復旧や維持管理面での土木工事の需要が今後一層高まると推測されます。
特に、全国のインフラの老朽化が進む中、橋梁、トンネル、上下水道などの維持管理が喫緊の課題となっています。
国土交通省の発表によると、2030年には国内の道路橋の約50%が建設から50年以上を経過し、維持補修の必要性が急速に高まると予測されています。
また、気候変動の影響で豪雨や台風の被害が増加しており、ダムや堤防の補強工事、都市部の排水施設の強化も求められています。
このような状況の中で、発注者支援業務に携わる技術者には、単なる監督補助業務にとどまらず、最新の点検技術や補修計画の立案、環境負荷を考慮した施工方法の提案など、より高度な知識と技術力が求められています。
たとえば、近年ではドローンを活用したインフラ点検や、AIを用いた劣化予測技術が導入されつつあり、これらを適切に活用できる技術者が重宝されるでしょう。
また、維持管理工事の発注形態も変化しており、単なる短期の修繕ではなく、長期的な視点での計画的なメンテナンス(ライフサイクルコストを考慮した維持管理)が主流となりつつあります。
この流れの中で、発注者支援業務の役割は、従来の「監督補助」から「発注者のパートナー」として、より戦略的な業務へと広がっていく可能性があります。
このように、発注者支援業務に携わる技術者には、単なる「経験」だけではなく、新技術の習得や、社会インフラ全体を見据えた広い視野が不可欠となっています。
これからの時代、技術者自身がどれだけ学び続けられるかが、社会に貢献できる度合いを大きく左右するでしょう。
施工管理経験を活かして次のステップへ

発注者支援業務を経験した後、さらにキャリアアップするにはどんな道がありますか?

発注者支援業務は全国に仕事がありますが、必ずしも希望の地域で働けるとは限りません。
転勤が発生することもありますし、派遣としてさまざまな現場を渡り歩く方もいます。私も独身の頃はあまり気にしていませんでしたが、家族を持つと状況は大きく変わりました。
最終的には、家庭とのバランスを考えて転職しましたが、ティーネットジャパンでの経験があったおかげで、再就職はとてもスムーズでした。やはり、自分のライフスタイルに合った働き方を選ぶことが大切ですね。
(dobokuyaさん)発注者支援業務は国をはじめとした様々な機関が全国で業務を発注しています。
もちろん自分の希望する地域でも業務があると思いますが、その業務を、所属する企業が毎回受注できるとは限りません。受注できなかった場合は、近隣の業務場所に転勤することもあるでしょう。
人によっては所属する企業を絞らず、派遣社員として業務を受注した企業にその都度転籍する方もいます。いずれにせよ、臨機応変に対応できるフットワークの軽い方がこの業務に向いているのではないでしょうか。
私の場合、独身の頃は転勤を苦と思わず、むしろ新しい環境を楽しんでいましたが、結婚し所帯をもつと考えが変わりました。
家族と過ごす時間が取れないこと、単身赴任にかかる費用が家計を圧迫することが原因でティーネットジャパンを退社することを決意しました。
現在は自宅から通勤可能な、国とは異なる発注機関で発注者支援業務をしております。業務内容もほぼ変わりありません。
すんなりと再就職先が決められたのもティーネットジャパンでの発注者支援業務の実績が評価されたからだと思います。
最後に、若手施工管理へメッセージ

将来、発注者支援業務を経験したい後輩たちに、何かメッセージをください。

発注者支援業務は、施工管理とは違う視点で工事を見られるのが面白いです。最初は慣れないことも多いですが、経験を積むうちに工事全体の流れが見えてきて、施工管理とはまた違うやりがいを感じるようになります。
働き方が安定するのも大きなメリットですし、キャリアの選択肢も広がるので、次のステップを考えている方には挑戦する価値があると思います。
(dobokuyaさん)施工管理の経験を活かして、発注者支援業務に挑戦したいと考えているなら、ぜひ前向きに検討してみてください。
発注者支援業務では、施工管理とは違った視点で工事を見られるので、新しい学びが多いですし、デスクワークが増えることで働き方も安定します。ただ、その分、発注者の立場で考える責任が求められますし、受注者との調整力も必要になります。
現場だけでなく、工事全体の流れを把握しながら仕事を進める必要があるので、最初は戸惑うかもしれません。
でも、施工管理で培った知識や経験は確実に役に立ちますし、発注者と対等に意見を交わせるようになると、仕事の面白さも感じられるはずです。
それに、発注者支援業務を経験すると、将来的なキャリアの幅も広がります。ゼネコンやコンサル、公共機関への転職の選択肢も増えますし、より専門性の高い技術者として成長できるでしょう。
もし今の働き方に疑問を感じているなら、一度発注者支援業務という選択肢を考えてみるのも良いかもしれません。