建築施工管理6年が、BIM/CIMオペレーターに転向した理由。手戻りゼロを目指した3年間の記録

わたしの履歴書
源さん
源さん

「事前に3次元でチェックできていれば、この手戻りは防げたはずだ」——26歳のとき、後藤さんはそう痛感したぞ。

建築施工管理6年。オフィスビル・商業施設の現場で、設備配管と鉄骨梁の干渉による大幅な手戻りを経験したことがきっかけで、BIMという技術に興味を持ち始めた人間がいる。現場と両立しながら独学で学び、資格を取得し、社内異動という形でBIM/CIMオペレーターへ転向した。

施工管理の経験はBIM/CIMの仕事でどう活きるのか。転向3年目のリアルを正直に話してもらったぞ。

わたしの履歴書
  • 22歳
    中堅ゼネコンに新卒入社・建築施工管理へ配属
    地方の工業大学(建築学科)卒業後、中堅ゼネコンに入社。オフィスビル・商業施設の建築施工管理としてキャリアをスタート。
  • 26歳
    大規模商業施設の現場で大きな手戻りを経験
    設備配管と鉄骨梁の干渉により、大幅な手戻りが発生。「事前に3次元でチェックできていれば」という思いからBIMに興味を持つ。
  • 27歳
    独学でRevitの基本操作を学び始める
    現場と両立しながら、書籍やオンライン教材でRevitの操作を独学。
  • 28歳
    Autodesk認定資格(Revit)を取得
    学習を本格化させ、Autodesk認定資格を取得。社内でBIM関連業務に自ら関わり始める。
  • 29歳
    社内のBIM推進部門へ異動・BIM/CIMオペレーターへ転向
    施工管理からBIM推進部門への異動を実現。BIM/CIMオペレーターとしてのキャリアが始まる。
  • 31歳
    BIM/CIMオペレーター3年目・現在
    設備・鉄骨の干渉チェックを中心に、施工前の3次元モデル作成業務を担当。

自己紹介

後藤さんは現在31歳。地方の工業大学で建築学を学び、卒業後は中堅ゼネコンに入社して建築施工管理を6年間担当した。オフィスビル・商業施設を中心に、S造・RC造の現場で工程・品質・安全管理を担ってきた。26歳のとき、設備配管と鉄骨梁の干渉による大幅な手戻りを経験したことがきっかけでBIMに興味を持ち、現場と両立しながら独学で学習を開始。28歳でAutodesk認定資格を取得し、29歳で社内のBIM推進部門へ異動。現在はBIM/CIMオペレーター3年目として、施工前の干渉チェック・3次元モデル作成業務を担当している。

施工管理ライター募集

建築施工管理を6年続けてきた理由。現場で積み重ねてきたもの

源さん
源さん

施工管理という職種を選んだ理由を教えてもらえますか?

後藤さん
後藤さん

大学で建築を学んでいて、図面が実際の建物として立ち上がっていく過程に立ち会いたいと思ったのが理由です。設計だけでなく、施工の現場で職人さんたちと一緒に建物を作り上げる仕事に魅力を感じました。オフィスビルや商業施設が完成して、人がそこで働いたり買い物をしたりする姿を見ると、達成感がありました。

建物が完成する過程に立ち会いたいという思いが、施工管理を選んだ動機になっていたよな。6年間続けてきた中で、印象に残っている現場を聞いてみたぞ。

源さん
源さん

6年間で一番印象に残っている現場はどこですか?

後藤さん
後藤さん

26歳のときに担当した大規模商業施設の現場です。設備配管と鉄骨梁が干渉することが施工段階で発覚して、大幅な手戻りが発生しました。図面上では問題ないように見えていたのに、実際に施工を進めると干渉が起きる。協力会社との調整に追われて、工程がかなり狂いました。あの現場は今でも忘れられません。

この現場での経験が、後藤さんのキャリアを大きく変えることになるぞ。図面上では見えなかった干渉が、施工段階で発覚するという構造的な問題。この経験がBIMへの興味につながっていくんだよな。

源さん
源さん

6年間、しんどさを感じていた部分はありましたか?

後藤さん
後藤さん

手戻りが発生したときの調整業務が一番きつかったです。協力会社に頭を下げて工程を組み直してもらったり、発注者に説明したりする時間は、精神的にも消耗しました。「なぜもっと早く気づけなかったのか」という後悔が、現場が終わった後もずっと残っていました。

手戻りへの後悔が消えなかったという言葉には、後藤さんの技術者としての誠実さが表れているよな。この後悔が、次の行動への原動力になっていくぞ。

転向を決めた瞬間。手戻りをなくしたいという思いから

源さん
源さん

BIMに興味を持ったきっかけを教えてください。

後藤さん
後藤さん

手戻りが発生した現場の後、先輩から「BIMを使えば施工前に干渉をチェックできる」という話を聞きました。3次元モデル上で配管と鉄骨の位置関係を確認できれば、あの手戻りは防げたはずだと思ったんです。それから独学でBIMについて調べ始めました。

「事前に3次元でチェックできていれば防げたはず」という後悔が、BIMという技術への興味に変わった瞬間だよな。発注者側にいる俺が見てきた限り、技術への興味は「便利そうだから」ではなく、こういう痛みを伴う経験から生まれることが多いぞ。

源さん
源さん

独学で学び始めた経緯を教えてください。

後藤さん
後藤さん

まずはRevitというソフトの存在を知って、書籍とオンライン教材、YouTubeの解説動画を使って独学を始めました。現場が終わった後、疲れていても1時間だけは触るようにしていました。休日にまとめて練習することもありましたが、平日の細切れの時間の積み重ねの方が大きかったと思います。1年ほどかけて、基本的な操作はできるようになりました。

現場が終わった後の1時間という積み重ねが、1年後の基礎力につながったんだよな。働きながらの学習は、まとまった時間よりも継続する仕組みの方が重要だという典型的な例だぞ。

源さん
源さん

現場を離れることへの迷いはありましたか?

後藤さん
後藤さん

かなりありました。現場で職人さんたちと一緒に建物を作る感覚が好きだったので、それを手放すことへの抵抗はずっとありました。ただ「手戻りをなくしたい」という気持ちの方が強くなっていって、現場を離れることは負けじゃなく、別の形で現場に貢献する道なんだと考えられるようになりました。

「現場を離れることは負けじゃなく、別の形で現場に貢献する道」——この言葉が後藤さんの転向の核心だよな。BIMという技術を通じて、間接的に現場の手戻りを防ぐという貢献の形を見つけたということだぞ。

BIM/CIMオペレーターへの道のり。資格取得と社内異動の実際

源さん
源さん

Autodesk認定資格の取得までの学習はどう進めましたか?

後藤さん
後藤さん

基本操作ができるようになった後、Autodesk認定資格(Revit)の取得を目指しました。試験範囲を把握するために公式のガイドを読み込んで、実際に模擬的な建物モデルを何度も作る練習をしました。仕事をしながらだったので、平日の1時間に加えて、休日にまとめて3〜4時間練習する日を作って、約1年かけて合格しました。

働きながらの資格取得は、平日の積み重ねと休日のまとまった時間、両方を組み合わせる必要があるよな。発注者側にいる俺の経験から言うと、施工管理として工程を組み立ててきた人間は、こういう学習計画を立てる力も自然と身についているケースが多いぞ。後藤さんの1年という期間は、仕事と両立させた上では現実的なペースだよな。

源さん
源さん

社内異動はどのように実現したのですか?

後藤さん
後藤さん

資格を取得した後、まずは今の現場の中でBIMを使える場面がないか自分から提案しました。小さな案件でモデルを作ってみせたら、上司が興味を持ってくれて、BIM推進部門との連携案件に呼んでもらえるようになりました。そこから半年ほど実績を積んで、正式に異動を希望する面談で「施工管理の経験とBIMのスキルを両方活かしたい」と伝えたところ、認めてもらえました。

資格を取っただけで終わらせず、実際に小さな案件で成果を見せたことが、異動につながった決め手だよな。発注者側にいる俺の経験から言うと、社内異動は「資格があります」という申告だけでは動かないことが多いぞ。実際に業務の中で成果を出して見せる人間の方が、周囲を動かせるよな。後藤さんが自分から小さな案件を提案した行動力が、この転向の核心だぞ。

源さん
源さん

資格は必須ではないと聞きましたが、なぜ取得しようと思ったのですか?

後藤さん
後藤さん

たしかにBIM/CIMオペレーターになるための必須資格ではありません。ただ独学だけだと、自分のスキルがどのレベルにあるのか客観的に分からなかったんです。資格という形で証明できれば、上司や会社に対して「本気で取り組んでいる」ということを伝えやすいと思いました。実際、異動の面談でも資格の話をしたら、本気度が伝わったと後で言われました。

「本気度を伝えるための資格」という捉え方は、資格の本質を突いているよな。発注者側にいる俺の経験から言うと、資格は業務上の必須要件でなくても、周囲に対する説得力を持つ道具になるぞ。後藤さんのケースは、資格を「スキルの証明」ではなく「本気の証明」として使った好例だよな。

BIM/CIMオペレーター3年目の仕事の実態。施工管理の経験がどこで活きているのか

源さん
源さん

BIM/CIMオペレーターとして、施工管理の経験が最も活きていると感じる場面はどこですか?

後藤さん
後藤さん

干渉チェックをするとき、「この施工手順だと、実際にはこの順番で部材が搬入されるから、ここで一時的に干渉しても問題ない」といった、現場の施工手順を踏まえた判断ができることです。図面上だけを見ているオペレーターだと、こういう時系列的な判断は難しいと思います。現場で実際に段取りを組んできた経験が、モデルの精度を上げることに直結していると感じます。

「施工手順の時系列」を理解した上での干渉チェックは、まさに施工管理経験者ならではの強みだよな。発注者側にいる俺の経験から言うと、現場を知らない人間が作ったモデルは、理論上は正しくても実際の施工では成立しないケースが少なくないぞ。後藤さんのような人材がBIM/CIMの現場に増えることは、業界全体の設計品質を底上げすることにもつながるよな。

源さん
源さん

逆に、転向して最初に壁を感じた部分はどこですか?

後藤さん
後藤さん

ソフトウェアの細かい機能や、他部門とのデータ連携のルールです。Revitの基本操作はできても、実際の業務では他の設計ソフトとのファイル形式のすり合わせや、社内の運用ルールに則った命名規則など、覚えることがたくさんありました。独学で身につけた操作スキルと、実務で必要な運用知識は別物だと痛感しました。

「操作スキルと運用知識は別物」という話は、独学で技術を身につけた人間が実務に入るときに共通してぶつかる壁だよな。施工管理での現場経験が武器になる部分と、BIM/CIM特有のルールとして一から覚える部分がはっきり分かれる。この両方を理解した上で転向した後藤さんは、ギャップを最小限に抑えられたはずだぞ。

源さん
源さん

施工管理時代と比べて、働き方はどう変わりましたか?

後藤さん
後藤さん

現場に常駐する必要がなくなり、オフィスでの勤務が中心になりました。工期が近づいても深夜まで残ることはほとんどなくなり、規則的な生活を送れるようになりました。ただモデル作成の締め切りが近いときは集中して作業する必要があり、忙しさの種類は変わったという感覚があります。

「忙しさの種類が変わった」という表現は、転向によって仕事が楽になったという単純な話ではないことを示しているよな。現場の忙しさから、オフィスワークとしての忙しさへ、性質が変化したということだぞ。

今の仕事とこれから

源さん
源さん

これからのキャリアをどう考えていますか?

後藤さん
後藤さん

今はRevitが中心ですが、土木分野で使われるCivil 3Dも扱えるようになりたいと思っています。建築・土木両方のBIM/CIMに対応できる人材になれば、会社の中でも希少な存在になれるはずです。将来的には、社内のBIM推進をリードする立場を目指しています。

建築と土木、両方のBIM/CIMに対応できる人材はまだ少ないぞ。後藤さんが目指す方向性は、業界全体で見ても希少価値の高いキャリアパスだよな。

源さん
源さん

BIM/CIMオペレーターへの転向を考えている人間に、一番伝えたいことはなんですか?

後藤さん
後藤さん

施工管理の現場経験は、BIM/CIMの仕事で確実に武器になります。ただ資格やソフトの操作は独学でコツコツ積み上げるしかなく、近道はありません。それと、資格を取っただけで終わらせず、実際に小さな成果を見せることが大事だと思います。行動で示せば、周りは必ず見てくれます。

「行動で示せば、周りは必ず見てくれる」——これは異職種への転向全般に共通する核心だよな。資格という形式的な証明だけでなく、実際の行動で本気度を示せる人間が、転向を成功させられるぞ。

源さん
源さん

最後に、転向前の自分に言葉をかけるとしたら?

後藤さん
後藤さん

「現場を離れることは、逃げじゃない」と伝えたいです。手戻りが発生したあの現場で、悔しさだけを抱えて終わっていたら、今の自分はいません。悔しさを次の行動に変えられたことが、今につながっています。施工管理の6年間は、今もモデルの中に生き続けています。

「悔しさを次の行動に変えられたこと」——これが後藤さんの転向の本質だよな。手戻りという痛みを伴う経験を、恨みや後悔で終わらせず、技術を学ぶ原動力に変えた。施工管理からBIM/CIMオペレーターへの転向を考えている人間にとって、後藤さんのキャリアはその一つの答えを示しているんだよな。

まとめ

後藤さんの話を通じて伝えたいのは、建築施工管理の経験はBIM/CIMオペレーターの仕事で確実に武器になるという事実だぞ。施工手順の時系列を踏まえた干渉チェックの精度・現場で段取りを組んできた経験——これらはすべて施工管理経験者がBIM/CIMに転向したときに強みとして機能するよな。

一方でソフトウェアの操作・他部門とのデータ連携ルールは、転向後に一から覚える部分だぞ。「現場経験があれば全部通用する」という過信を持たずに、独学でコツコツ積み上げる姿勢が重要だよな。「資格を取っただけで終わらせず、実際に小さな成果を見せる」という後藤さんの行動が、社内異動という道を切り開いたぞ。

「手戻りをなくす仕事も、現場を守る仕事だ。施工管理の6年は、モデルの中に今も生きている。」——この言葉が後藤さんのキャリアの本質を表しているよな。施工管理からBIM/CIMオペレーターへの転向を考えている人間は、まず社内でBIMに触れる機会がないか探してみるか、建設業界特化型のエージェントに相談して、自分の経験がどう評価されるかを確認してほしいんだよな。